研究課題/領域番号 |
21K11010
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
倉林 しのぶ 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 教授 (20389753)
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研究分担者 |
宮崎 有紀子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (00251190)
赤堀 八重子 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (30700124)
武居 明美 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 講師 (70431715)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ACP / 人生の最終段階における医療 |
研究実績の概要 |
研究の第1段階として、一般市民の「人生の最終段階における医療」および「ACP」の知識と認識を明らかにし、また、最終段階の医療について「得たい情報」「不明確な知識」等「医学的情報に関するニーズ」を明確にすることを目的とし、2022年度中に5000名を対象とした質問紙調査を実施した。郵送とWEB合わせて1386の回収数(回収率27.7%)であった。4月現在、データ集計途中である。 全体の単純集計結果では、言葉の認知度に関して「リビング・ウイル(13.7%)」、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)(5.5%)」、「人生会議(6.1%)」と認知度が低率であることがわかった。また、最期の医療の決め方については「自分と家族が相談して決める(42.0%)」、「自分と家族と担当医師とで決める(35.0%)」と患者本人だけでなく誰かと相談して決めたいという意向が見られた。さらに、人生の最終段階の医療やケアについての話し合いについては「年齢に関係なく話し合った方がよい(44.7%)」と思っているが「そのきっかけがない(26.6%)」と考える人が多いことが示唆された。自由記載については集計中であるが、調査に協力してくださった多くの方が年齢に関係なく「人生の最終段階」について強い関心を持っていることがわかった。今後は、年代、職種、闘病経験等の背景と加えたクロス集計を行い、さらに分析をすすめる予定である。 本研究では「一般市民」に焦点を当てている点に意義があると考える。一般市民の考える「人生の最終段階の医療やケアとは何か」を明確にした上で,ACPのファーストステップとして必要な情報を整理しACPに関する知識を含めそれらを体系化したガイドブックを作成することで、地域におけるACPの普及・推進に寄与できると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1段階の5000人対象の大規模調査は終了しており、データ集計段階である。今後、第1段階でのデータを整理したうえで,医療専門職(医師・看護師)(在宅専門医・訪問看護師等を含む)と一般市民を交えた検討会議を開催し,医療行為や処置に関する正しい知識の普及および一般市民へのACPの在り方について検討する第2段階に進む予定である。その後、ガイドブックの構成と内容,また,倫理的配慮について検討を重ねたうえで一般市民向けACP支援ツールとしてのガイドブック(第1案)を作成する。進捗としては順調であるが、データ集計・分析で少々停滞しており、このプロセスを2023年夏前には終わらせ8月までには第2段階に進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
第2段階についての目途は立っており、医療専門職(医師・看護師)と一般市民を交えた検討会議の開催までは順調に進む予定である。ただ、5000人対象の質問紙調査が、当初見込んでいた予算額より出費がかさんだため、第2段階のガイドブック(第1案)までの制作は可能と考えているが、第3段階には検討が必要と思われる。2023年度中に、可能な範囲で第1案のガイドブックを利用した研修会を開催したいと考えているが、第3段階のインタビュー調査とそれを経た最終版のガイドブック制作には経費の関係で検討が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、前半が調査票作成と配布回収、後半は調査票の集計が主な研究活動となった。 コロナ禍という状況もあり、旅費はほとんど不要となったことと、外部に依頼した人件費を使用せず、研究組織のなかで完結した活動になったことで残金が生じたと思われる。 現在、集計結果の分析途中であり、分析終了後には研究協力者や一般市民を含めた検討会議を行った上で、ガイドブックを作成予定である。ガイドブック作成にあたり業者を利用するが印刷冊数によっては経費はかかると予想されるため、合算した予算が必要となる。また、コロナの状況も落ち着いてきたため、学会発表等も予定しており、旅費等にも使用予定である。
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