研究実績の概要 |
2021年度に千葉県銚子市で収集した糞便検体について腸内細菌叢の分析を行った。各検体から10,000 read の16S rRNAのアンプリコンをアノテーションし全体で10門、192属、488種の細菌を同定し構成比を得た。検体内の菌の多様性を示すα-多様性(Speciesレベル)は、Observed, Chao1, ACE, Fisher のいずれの指標もHbA1c高値群(5.6%以上; H群)の方が正常群(5.5%以下; N群)より有意に小さかった。また、検体間の菌叢距離を示すβ-多様性(Speciesレベル)はBray-Cutis index,Jensen-Shannon Divergence, Jaccard index のいずれの指標でもH群とN群の間には有意な違いがあった。Genusレベルで比較すると、N群の方がH群よりも有意に多い菌はGordonibacter, Catenibacillus などの15属、有意に少ない菌はFusobacterium, Bacteroides などの4属であった。Speciesレベルで比較すると、N群の方がH群よりも有意に多い菌はAlistipes_putredinis, Anaerostipes_hadrus などの31種、有意に少ない菌はLachnospiraceae_bacterium_9_1_43BFAA9, Catenibacillus_scindens などの9種であった。また、腸内細菌叢(Species)を説明変数としてH群とN群を分類するよう ortho PLS-DAを行ったところ、N群とH群を綺麗に分類することができた。このとき VIP score の上位5菌種は、大きい方からGordonibacter_pamelaeae (N群 > H群)、Bacteroides_sp__Smarlab_3302398(N群 > H群)、Ruminococcus_sp__14531(N群 > H群)、Lachnospiraceae_bacterium_8_1_57FAA(N群 > H群)、Lachnospiraceae_bacterium_9_1_43BFAA(N群 < H群)であった。
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