研究実績の概要 |
本研究の目的は、多職種連携によって高血圧発症に関与するリスク因子を同定し、リスクに応じた適切な指導を行うことで高血圧発症予防につなげることである。具体的には、職域の産業保健師と産業医が協働して、①新たなデータベースの構築、②交感神経活性化に焦点を当てた高血圧発症に関与する新たな因子の探索、③多職種による血圧管理スキームの確立を目指している。これまでに既に、年齢、性、身体計測値(身長, 体重, 安静時血圧, 脈拍数 、生活習慣(喫煙, 飲酒, 食事, 運動)、血液・尿検査、安静時心電図所見についてデータベースを構築してきた。 令和3年度は、2006年以降に行われた5年ごとの心臓病健診で得られた、心臓超音波検査所見(左房径, 中隔壁厚, 後壁厚, 拡張期左室径, 収縮期左室径, 左室駆出率, 左室拡張能E/e’)およびトレッドミル運動負荷試験所見(運動時最大収縮期/拡張期血圧, 運動時最大心拍数,運動終了時収縮期/拡張期血圧, 運動終了後収縮期/拡張期血圧)のデータの入力作業をすすめた。また、本研究から得られた研究成果について高血圧に関係する国内外の学会や研究会で発表するとともに、高中性脂肪血症が新規高血圧発症の危険因子となることを明らかにした研究成果について論文化した (J Hypertens. 2021 39(4):677-682)。さらに、これらの研究成果の一部は職域の健康管理担当者を対象とした健康講話で紹介し、従業員の健康管理にもフィードバックすることができた。
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