研究課題/領域番号 |
21K11033
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 美佳 福島県立医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (40739281)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 放射線健康リスク / 放射線災害 / 看護教育 / 地域包括ケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域包括ケアを担う看護職を対象とした、放射線健康リスクリテラシー向上プログラムの開発と評価を行うことである。2021年度は、地域包括ケアを担う看護職の放射線健康リスクリテラシーの実態調査を、混合研究法(MMR)の説明的順次デザインを用いて行った。訪問看護ステーションおよび介護保険施設(介護老人保健施設・特別養護老人ホーム)に勤務する福島県内の看護師と、福島県外の原子力発電所立地県2県の看護師を対象に、第1段階として郵送法による質問紙調査を実施した。その結果、放射線教育を受けた経験者は、福島県内52名(66.7%)で、福島県外26名(33.3%)と比較して有意に多かった(P=.027)。放射線健康リスクに対する認識に関する項目では、福島県内の看護師は県外の看護師と比較して、「不妊が起こる可能性」(P=.015)と「白内障が起こる可能性」(P=.033)および「胎児への影響が起こる可能性」(P=.012)について低いと回答した者が有意に多かった。放射線に対する印象については、福島県内の看護師は、県外の看護師と比較して「洗濯物を外に干す時の空間線量率」(P=.008)および「放射線被ばくで次世代以降の人への健康影響の可能性」(P=.047)を気にしないと回答した者が有意に多く、「各所に設置されているモニタリングポストを見ること」(P=.041)は気にする者が有意に多い結果が得られた。第2段階として、質問紙調査を行った対象者のうち、面接調査に同意が得られた13名を対象に、オンラインによる面接調査を行った。その結果は現在分析中である。2022年度は、放射線健康リスクに対する不安の軽減を図るための教育プログラムを開発予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVUD-19の影響を受け、面接調査がスムーズに実施できなかった。そのため質的研究分析が遅れている。合わせて、影響要因の解明についても分析が進められずにいる。
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今後の研究の推進方策 |
質的研究分析を進めて、放射線健康リスクリテラシーの影響要因の分析を進める。合わせて、対面式およびオンラインでも実施可能な教育プログラムの開発を進めて行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、予定していた学会や会議が中止やオンライン開催であったことから、助成金が次年度以降に繰り越しとなった。
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