研究課題/領域番号 |
21K11036
|
研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
糟谷 知香江 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30337274)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 遠隔心理支援 / 写真投影法 |
研究実績の概要 |
2022年度の研究成果は3点にまとめられる。 1つ目は、研究代表者が担当するオンラインでの講義において、写真を共有して対話するという実践を行ったことである。前年度の経験を踏まえ、より適切な方法に修正して行うことができた。この実践については2023年度に学会等で報告する計画である。 2つ目は、ナラティブ・メディスンの実践を参考として、写真を使用した自分史を制作する教育プログラムを開発したことである。この実践は対面で行ったものであるが、オンライン環境でも実施可能な教育プログラムであるだけでなく、心理支援にも応用できる内容となっている。この教育プログラムについては“Creative Writing with Visual Imagery”として論文にまとめた。 3つ目は、研究代表者がこれまでに行ってきた視覚的イメージを介した心理支援について、ヘルスヒューマニティーズの観点から整理・検討したことである。結果は、論文としてまとめたほか、聖路加国際大学教育改革推進事業「聖路加ヘルスヒューマニティーズ創設への教育プログラム」の一連の講座の中でも報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、①写真を共有して対話するという実践を行った、②写真を使用した自分史を制作する教育プログラムを開発した、③視覚的イメージを介した心理支援について整理・検討した。これらによって、写真など視覚的イメージを心理支援へ用いるための基礎的知見を蓄積することができた。ただし、実施方法についてはまだ検討の余地が小さくないことから、上記の進捗状況と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は視覚的イメージのなかでも特に写真を媒介とした対話の実施手順を定めることを主たる目標として取り組み、基礎的知見を蓄積することができた。2023年度は、前年度の方法に修正を加えつつ検討を重ねる計画である。なお、本研究では写真の撮影という行為自体に意義があると考えて、実践で使用する写真の準備を対象者自身に委ねている。ただ、心理支援を必要としている人の中には、自分で写真を撮影することが難しい状況にある者もいる。こうした人々にも対象を広げていこうとするときには、実施者の側で予め準備した写真を用いるという方法が有効である。対象者に適した方法を選択できるようにするために、多様な写真のストックを作成することが課題である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度の研究結果を踏まえて研究計画書を修正し、旅費の執行と一部の物品の購入を見送ったことから、2022年度の使用額が小さくなっている。2023年度は、研究者の側で多様な写真のストックを作成することを課題の一つとしている。研究目的に沿った写真を用意することにも助成金を使用する計画である。
|