研究課題/領域番号 |
21K11037
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
井口 理 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (10513567)
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研究分担者 |
石田 千絵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (60363793)
一色 喜保 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (00827826)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 互助機能尺度 / 都市部 / 支援者 / コロナ禍 / 高齢者 / 社会とのつながり / 二極化 |
研究実績の概要 |
1.都市部における「互助」機能に関する評価尺度を開発するため、全国20の政令指定都市と東京23区の地域包括支援センターと市区社協計約1200カ所を対象に、質問紙(Web回答も選択可能とする)調査を行い、確認的因子分析を行うため、アンケートフォームの作成と対象施設リストの作成を行った。調査項目は、平成30年度~令和3年度の若手研究(18K17656)で探索的因子分析を行った結果をもとに抽出した。倫理審査委員会に諮り、承認を得ている。 2.住民の感染リスク意識とコロナ禍における地域活動に関する文献検討を行った。「住民or市民」「感染andコロナ」「意識」「地域活動orサロンor互助or支え合い」をキーワードに、新型コロナウイルスが確認された2019年以降の文献を検索した。抽出された文献10件と公的機関の調査等報告書を概観した結果、2020年7月時点で休業あるいはサービス提供時間の短縮を行った通所介護事業所は約15%にとどまったが、自主的に通所介護の利用を控えた利用者がいた事業所は 81.7%であった。平時から日常的に社会的繋がりをもって暮らしていた高齢者は、コロナ禍においても他者と良好な社会的なつながりを維持・進展させて前向きに暮らそうとする交流をしていたという報告がある一方で、市町村社会福祉協議会の支援者は、高齢者の行き場がなくなったことにより「心身の機能低下がみられると思う(まあ思う)」が 6 割強、「地域の助け合い活動の中止や延滞があると思う(まあ思う)」が5 割強で、コロナ禍で社会とのつながりのもち方が二極化している可能性が示唆された。 3.住民対象調査に協力を得られる地域を選定し始めている。日本赤十字社本社に設置されている地域包括ケア推進室と連携し、東京23区あるいは政令指定都市の中で協力を得られる地域包括支援センターを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、主に地域包括支援センターを対象とした評価尺度の開発と、住民対象の意識調査の2つを令和3年度~4年度に実施する計画である。 地域包括支援センター対象の調査は調査項目の選定にあたり、予備調査の査読を経て論文投稿の見込みがつくまで少し時間を要したが、倫理審査の承認を得て、すぐに着手できる状況である。 住民対象調査は、文献検討を終えて既存の尺度についてもover viewしており、調査項目の抽出と協力地域の選定を同時に進め、令和4年度中に実施できる見込みである。またコロナ禍が遷延する社会情勢ではあるが、予防接種の体制が整いつつあり、行動制限を強く求められることも減っている。 以上のことから、概ね順調に研究が進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1.都市部における「互助」機能に関する評価尺度を開発するため、全国20の政令指定都市と23区の地域包括支援センターと市区社協計約1200カ所を対象に、質問紙(Web回答も選択可能とする)調査を行う。 2.住民の感染リスク意識とコロナ禍における地域活動に関する調査を実施するため、先行研究と既存の尺度から調査項目を抽出する。東京23区あるいは政令指定都市で、協力の同意を得られた地域包括支援センターで.住民が自覚する近隣との助け合いの実情、地域活動と感染リスク意識に関する質問紙調査を実施する。 3.2の調査を実施したエリアを管轄する地域包括支援センターで、1により作成した互助機能を評価し、支援者による「互助」機能評価と住民の助け合いの実情が乖離していないか検証する。
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