研究課題/領域番号 |
21K11055
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
九津見 雅美 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (60549583)
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研究分担者 |
柴田 真志 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (00254467)
加藤 泰子 宝塚大学, 看護学部, 准教授 (70510866)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | レビー小体型認知症 / 睡眠覚醒周期 / 家族 |
研究実績の概要 |
本研究はレビー小体型認知症(DLB)の中核的特徴の一つであるレム睡眠行動障害(RBD)に着眼したものである。RBDは、睡眠のみならず睡眠覚醒周期に影響を及ぼすだけでなく、家族介護者の睡眠および睡眠覚醒周期への影響も著しいと推察される。本研究では睡眠覚醒周期をアクチグラフと加速度計という客観的指標を用いて明らかにした上で、それらと認知機能の変動などの他の症状との関連を明らかにすることを目指している。 新型コロナウイルス感染症のため2021年度は調査のリクルートすら行えなかったが、2022年度に入りリクルートを開始し、在宅で生活するDLBの人とその家族4組に対して調査を実施することができた。 DLBと鑑別診断を受けた70代男性の1事例について2週間睡眠指標と認知機能の変動について測定し得られたデータの記述統計を算出し、変数間の関連を明らかにするためにスピアマンの相関分析をおこなった。その結果、認知機能の変動は14日中5日みられた。睡眠指標の平均値は、総睡眠時間は6時間36分、睡眠潜時は8.7分、中途覚醒は49分、睡眠効率は86.5%であった。認知機能の変動は睡眠潜時(r=.655, p=.011)と関連があり、睡眠効率(r=-.499, p=.069)とは関連がある傾向があった。この事例から、認知機能の変動があることと、睡眠潜時が延長すること、すなわち眠りにつきにくくなることに関連があることが示された。また認知機能の変動があることと睡眠効率が下がることと関連がある傾向がみられた。今後は症例数を増やし詳細な分析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はDLBとその家族10組を対象としてアクチグラフと加速度計という客観的指標を用いて2週間測定する計画である。DLBは認知症の約20%を占めると推計されているが、現在在宅で生活している高齢者を調査対象としている本研究は新型コロナウイルス感染症拡大に留意しながら進める必要があったため、調査対象者のリクルートに難渋したことがやや遅れている理由である。2022年度はようやく4組に調査遂行できた状態である。
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今後の研究の推進方策 |
3月末時点で2023年度以降に更に4組調査予定となっている。DLBの中核的特徴と言われるレム睡眠行動障害そのものがどのように測定されるのかを明らかにすることは重要な目的の一つであると考えられるため、DLBの人と家族という1組揃っての調査にこだわるのではなく、DLB本人から合意が得られればお一人を対象として調査を行うことで調査対象者数を増やしていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は調査が4組できたものの、当初目的としていた10組には至っていないことで旅費交通費や機器送付代等の使用が少なかった。これにより次年度使用が生じた。2022年度生じた次年度使用額は、2023年度から調査実施のため使用予定である。
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