研究課題/領域番号 |
21K11059
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
岩清水 伴美 順天堂大学, 保健看護学部, 教授 (60516748)
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研究分担者 |
江口 晶子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 准教授 (00339061)
酒井 太一 順天堂大学, 保健看護学部, 先任准教授 (50363734)
川田 梨絵 順天堂大学, 保健看護学部, 助手 (60911865)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 新任保健師 / ワーク・エンゲイジメント / 現任教育 / 指導者 / 養成プログラム |
研究実績の概要 |
新任期保健師の実践能力の低下や保健師の離職が問題とされている。行政保健師の現任教育の教育方法はさまざまであるが、目標管理式「チャレンジ目標(到達目標)」を活用しているところが多く、これは仕事の成果と個人の働き甲斐を高めようとするものであるが、できる・できないの評価に用いられやすく仕事に対する意欲が低下しやすく、働き甲斐を高める適切な指導が求められる。 そのため新任期保健師の指導者が抱える困難御実態と困難な指導場面の観察をもとに、自治体のOJT担当者と共同でワーク・エンゲイジメントを高める指導者育成プログラムを作成する。プログラム教材には「模擬フィードバック演習の事例」を作成、評価には「リフレクションに関する尺度」及び「ワーク・エンゲイジメント尺度」を活用する予定である。指導者が抱える困難を明らかにし、新任期保健師がワーク・エンゲイジメントを高める指導者育成プログラムの開発と評価を行うことを目的としている研究である。 現在までの成果は、新任期保健指導の困難には「職場の環境づくり」「指導者と新人保健師との関係性」「人材育成の視点不足」等があることが明らかになった。これを用いながら調査票を作成する予定である。 2023年度は、プログラム教材の「模擬フィードバック演習の事例」を作成予定であった。演習の事例は、特定妊婦を主として作成すること等構想はできているが、具体的な内容については、今後検討し完成させる予定である。 COVID-19の流行が下火になったことに伴い、インフルエンザをはじめとする他感染症の流行があり、対応の最前線である保健師現場では、多忙・感染予防のため現任教育現場に入り込むことが難しく、研究が進められない状況であった。今後は、保健師現場での現任教育の現状等把握し、プログラムの作成等に取り組に研究の遅れを取り戻していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、新任保健師の現任教育を行うための指導者養成プログラム作成を行うものである。2021年度もCOVID-19の影響で市町村保健師は予防接種等の対応、また保健所はCOVIT-19感染者の対応等で非常に多忙であり、研究協力の打診をしても対応は難しい状況であった。2022年度もCOVIT-19感染者(オミクロン株)の激増により、感染者対応の保健所等では通常業務も実施できない状況であった。また、公衆衛生を推進すり自治体(市町村保健センター・保健所等)では、感染予防のため来所者の制限など加えられ訪問もできない状況であった。 2023度予定はプログラム作成・実践の予定であったが、研究協力者の感染症対応(COVIT-19感染症及びインフルエンザ、他の感染症)による多忙のため、研修用の事例作成の大枠の構築ができた程度である。また、本年度1月には能登半島地震により、保健師の災害対応支援が始まり保健師活動が通常に戻る状況には至らなかった。以上のように研究は予定より遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
公衆衛生担当分野は、感染症の5類のCOVID-19・他感染症の流行も落ち着いてきている。また、能登半島地震の他県保健師の支援活動も減少し、徐々に通常の保健活動ができるようになってきている。研究対象の保健師の協力も得られると考える。そのため今年度は以下の3点を実施する。 ①新任期保健師指導の困難を調査するため調査票の作成 ②調査票を用いて新任期保健師指導の困難の実態を把握する ③指導困難場面を把握し「模擬フィードバック演習の事例」を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始からCOVID‐19流行の影響で、研究対象者の保健師が多忙であったこと、保健師の勤務場所である市町村保健センターや保健所が感染予防のための部外者の立ち入り制限があったため、研究・調査等介入ができなかった。2022年度の第7波は爆発的流行により、さらに厳しい状況であった。また、COVID-19の流行が緩やかになり、5類に移行した2023年5月からは活動制限が緩やかになったにもかかわらず、インフルエンザや他感染症が流行し保健所等の保健師の多忙さが軽減することはなく、2024年1月の能登半島地震により、他県保健師による災害支援活動が始まり、通常の保健活動に戻るには至らなかった。 災害支援活動も落ち着きを見せ通常業務に戻ってきているため、保健師の研究協力者の意見を参考に、研究を推進していく予定である。
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