研究実績の概要 |
当該年度は、健常者長崎大学学生男女40人を対象に1,8-シネオールと2-ノネナールの香りについて、1. 感知できない「微香」および感知できる「香」となる空気中濃度の調査、2. 香りの持続性の調査、3. アロマペンダントの効果の検証を行い、更にアメリカの北米日本庭園学会において、高齢者に対する植物由来の香りの効果に関する発表をおこなった。 1.微香の濃度の調査は、ディフューザーを用い、起動5分後の空気を室内3カ所で捕集し、GC-MS法によって濃度測定をした。 その結果、1,8-シネオールは500μg/m3前後、2-ノネナールは500μg/m3前後が感知の境界であると考えられるが、健常者でもかなり個人差があることがわかった。 2.アロマペンダントによる香りの持続性は、5分、10分、30分、1時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間の香りを捕集し、時間による拡散濃度の変化を調査したところ、香りは24時間で約1/10減少した。しかし拡散速度は室温と湿度によって異なるので、来年度も実験を継続する。 3.アロマペンダントの効果の調査は、アロマペンダントと、ディフューザーを使用して、1,8-シネオールの香りと2-ノネナールの香りに対してPOMS心理テストと、百ますテストを行った。その結果、アロマペンダントの暴露ではほとんど効果が見られなかった。これにより、備考では5分間の暴露では効果を得ることができないことがわかった。また、1,8-シネオールをディフューザーで暴露した場合、POMS(気分アンケート)と百ます計算の結果が優位に高くなったが、2-ノネナールの香りをディフューザーで暴露した場合、POMSと百ます計算の結果両方が優位に低下した。更に、2-ノネナールの香りは気分が悪くなり、体調の不調を訴える被験者が出たので、高齢者の被験者への適応は不適切ということがわかった。
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