研究課題/領域番号 |
21K11089
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
上村 浩一 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (50346590)
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研究分担者 |
有澤 孝吉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30203384)
釜野 桜子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (00612574)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 閉経年齢 / 生活習慣病 / 疫学研究 |
研究実績の概要 |
日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)においては、徳島地区も含めて、研究参加者に対して、がんをはじめとする生活習慣病等の発症を調べる追跡調査が進行中で、疾患の罹患データや疾患による死亡データの蓄積が進んでいる。我々はこれまでの検討により、J-MICC Study徳島地区の協力者(35~69歳)のベースラインデータのうち、虚血性心疾患・脳卒中の既往者等を除いたデータを用いて、体格および慢性炎症(血中高感度CRP値で代用)とインスリン抵抗性との関連を、交互作用を含めて検討したところ、年齢、性別、調査グループ、喫煙・飲酒習慣、余暇の身体活動、総エネルギー摂取量で調整しても、インスリン抵抗性ありに対する肥満と慢性炎症の交互作用は有意で、日本人において、肥満はインスリン抵抗性の強力な危険因子であるが、それに慢性炎症が加わると相乗的にインスリン抵抗性のリスクが上昇することを明らかにしており、慢性炎症がさまざまな疾患の発症に関連している可能性がある。また、女性においては、閉経後に急に肥満が増え、血管の弾力性が低下するが、内臓脂肪の蓄積を反映すると考えられる脂肪肝の代替指標であるFatty Liver Index (FLI)が男女ともに動脈スティフネス(血管の硬化度)に関連していることを見出した(現在、英語論文執筆中)。そこで、閉経年齢と様々な疾病との関連を検討するための予備的な検討として、閉経年齢と慢性炎症の状況(血中高感度CRP値)や閉経年齢と脂肪肝の代替指標であるFLI値との関連について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)においては、徳島地区も含めて、研究参加者に対して、がんをはじめとする生活習慣病等の発症を調べる追跡調査が進行中で、疾患の罹患データや疾患による死亡データの蓄積が進んでいる。また、我々のこれまでの検討により、日本人において、肥満はインスリン抵抗性の強力な危険因子であるが、それに慢性炎症が加わると相乗的にインスリン抵抗性のリスクが上昇することを明らかにしており、慢性炎症がさまざまな疾患の発症に関連している可能性がある。また、女性においては、閉経後に急に肥満が増え、血管の弾力性が低下する。内臓脂肪の蓄積を反映すると考えられる脂肪肝の代替指標であるFatty Liver Index (FLI)が男女ともに動脈スティフネス(血管の硬化度)に関連していることを見出し、現在、英語論文執筆している。本年度は初年度であり、閉経年齢と様々な疾病との関連を検討するための予備的な検討として、閉経年齢と慢性炎症の状況(血中高感度CRP値)や閉経年齢と脂肪肝の代替指標であるFLI値との関連について解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
慢性炎症や内臓脂肪蓄積はさまざまな疾患に影響している可能性があり、閉経年齢と様々な疾病との関連を検討するための予備的な検討として、閉経年齢と慢性炎症の状況(血中高感度CRP値)および閉経年齢と内臓脂肪の蓄積を反映すると考えられる脂肪肝の代替指標であるFatty Liver Index (FLI)値との関連について解析しており、有意義な結果が出れば、国内全国学会等で発表するとともに、英語論文を作成し、海外雑学術誌へ投稿したい。日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)において、がんをはじめとする生活習慣病等の罹患データや死亡データの蓄積が進めば、それらと閉経年齢との関連について詳細に検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)においては、研究参加者に対する、がんをはじめとする生活習慣病等の発症を調べる追跡調査が進行中で、疾患の罹患・死亡データの蓄積が進んでいるが、令和3年度は、予備的な検討として、ベースライン時のデータを用いて、閉経年齢とさまざまな生活習慣病等に共通する基礎的病態(慢性炎症の状況や内臓脂肪蓄積の状態など)との関連の検討に時間を費やした。また、情報収集のための学会出張等も、オンライン参加となり、旅費等の支出が抑えられた。
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