研究課題/領域番号 |
21K11096
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
佐藤 美樹 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (90749540)
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研究分担者 |
金子 仁子 東京情報大学, 看護学部, 教授 (40125919)
田口 理恵 共立女子大学, 看護学部, 教授 (90301126)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エンパワメント / 家族 / 親 / 育児 / 乳幼児 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、2017~2021年度科学研究費(基盤研究C)で開発した「幼児を持つ親の家族エンパワメント尺度(Family Empowerment Scale for Parent with Toddlers:以下FES-P)」を用いて、家族支援に活用できる家族エンパワメントのアセスメントシートを開発し、その活用方法と効果的な支援方法を明らかにすることである。2023年度は、以下の1)~2)を実施した。 1)自治体の乳幼児健康診査(1歳6か月、3歳児健康診査)にて、対象児の親を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。健診会場で同意が得られた1320組に調査票を配布し、父親439名、母親815名から回収した。回収した1254名のうち、父親・母親のペアになっている429組(858人)を分析対象とした。FES-Pの平均値は、父親が128.4±22.5点、母親が135.1±28.3点で母親の方が有意に高かった。クロス分析では、父親・母親共に育てにくさについて「感じている」者は「感じていない」者に比べて、FES-P総得点が有意に低かった。相関分析では、FES-P総得点と子どもを通じた付き合いは中程度の正の相関がみられた。一方で子どもを通じて「関わっている人はいない」では中程度の負の相関がみられた。確認的因子分析では、「家族との関係性」「育児の効力感」「地域とのつながり」「親役割達成感」「サービスの認知と活用」の5つの因子を1次因子、「家族エンパワメント」を二次因子とする構造モデルが確認された。FES-Pの信頼性係数は十分な高さを示しており、尺度の信頼性が確認された。 2)研究班会議において研究者と自治体保健師とのディスカッションを行い、FES-Pの共分散構造分析による下位因子間のモデルのさらなる検討を行った。また、調査自治体の地域の現状に合わせた保健指導の方法についての検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、自治体の乳幼児健康診査(1歳6か月、3歳)の場でアンケート調査を2023年1月~6月まで実施し、その分析を行った。次年度は1回目の調査で同意の得られた対象者への1年後の継続調査を実施する予定である。 今年度は自治体の乳幼児健康診査で質問紙調査の実施とその分析をおおむね計画どおりに進められたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、自治体との共同研究を継続して進めていく予定である。まず、研究班会議にて、今年度の結果のさらなる分析を行い、早期に支援の必要な家族をアセスメントし、効果的な保健指導のあり方を検討する。次いで、今年度に実施予定の1年後調査実施に向けた計画を進めていく予定である。今後の方向性としては、自治体の育児相談や乳幼児健康診査に来所の保護者等に加えて、子育て支援サービスを利用する保護者等へ対象者を拡大し、本尺度をどのように使用するか等の示唆を得る検討を行う。また、関連する学会において、成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の未使用額については、自治体との共同で実施しているアンケート調査の継続、調査補助者の人件費、研究成果公表に関する経費(学会発表・論文の投稿)、調査のため自治体や施設等に出向くための旅費等に使用する。よって、次年度使用額も含め、予定通りの遂行が見込まれる。
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