研究課題
福島の原発事故で発生した災害関連死に対する施策として、本研究は、原子力災害時に高齢者、障害者、乳幼児等の防災施策において特に配慮を要する(以下、要配慮者とする)対象が的確な避難を行う事ができるよう、看護職等が対象となる避難行動要支援者の避難に関わるリスク評価を可能とするソフトウェアの開発を行うことでスタートした。それは、もし、避難をする必要が出てきた場合に、避難が可能な身体的な状況なのか、即座に避難を必要とするような放射線量なのか、スムーズな避難ができる避難経路なのか等、様々な観点から的確にアセスメントし、避難におけるリスク評価を可能とするためのソフトウェアを目指し、それが指針となり、対象を避難行動要支援者と判定することが可能となる。特色は、要配慮者の生活行動レベル情報を基に、評価し、簡単な認知症評価を活用した。次に、対象の疾病の重症度については、内科疾患の診断基準・病型分類・重症度を活用し、主要な疾患を中心にし、分類できるようにした。しかし、複雑にしては、入力判定が難しくなり、有用性を欠く可能性が明らかになった。次に、地理情報システムの道路渋滞や経路、地形などの情報を統合し、原子力規制庁の放射線モニタリング情報による空間線量データを入手し、避難経路に線量濃度を加味し、三次元で捉え、可視化する予定であったが、これは、既に鹿児島県が開発しつつある。そのため、このソフトウェアの機能は、身体状況の判断指標(対象者が避難に耐えられるか否か)、放射線モニタリングによる環境査定(空間線量率の上昇に伴い避難すべきか否か)にとどめ、避難経路の選択と避難先の決定に関わる情報査定アプリ間の連動スイッチング機能により、アクセスし、活用する方法に切り替えた。最終試験は、原発事故時の福島放射線モニタリングデータの推移を入力し、要配慮者の避難行動に関するリスク評価できるかどうか、有用性を確認する。
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