研究課題/領域番号 |
21K11114
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
菊地 ひろみ 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (80433134)
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研究分担者 |
高橋 奈美 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (30452981)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 在宅療養者 / 医療的ケア / 訪問看護 / レジリエンス / 看護モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、医療依存度の高い在宅療養者の生活の再構築に至るレジリエンスを促進する看護モデルを創出することである。前の研究でレジリエンスの概念分析を行い、胃ろう・人工肛門・輸液ポート造設や気管切開・気管カニューレ等、訪問看護特別管理加算の対象となる在宅療養者を対象に半構造化インタビューによりレジリエンスの要素を抽出した。 当該年度は、訪問看護ステーション管理者と在宅看護専門看護師ら訪問看護のエキスパートにヒヤリングを行い、概念分析とインタビューで得られた結果の妥当性について検討した。その結果、レジリエンスの概念および生活の再構築に至るプロセスについて概ね妥当であるとの見解が得られた。 レジリエンスは「重大な危機状況からの回復プロセス」であり「個人の内的強靭さ」「促進的環境」の相補的プロセスにより強化される。本研究により抽出した医療依存度の高い在宅療養者の「適度な楽観性」「周囲の力を活用する」「周囲の支援に感謝する」「自分で考え修正する」等12の概念は、前の研究で得た①わが事として医療処置を捉え、自分の希望を周囲に伝えるスキルとコンピテンス、②病状を自覚しつつも周囲に感謝し暮らしに楽しみを見出す内的・個人的強さ、③急変しやすい療養者の在宅生活を支える促進的環境と一致した。次年度はレジリエンスを促進する看護モデル案を作成する。在宅看護エキスパートに在宅療養当事者を加えた専門家・当事者パネルを構成し、修正デルファイ法を用いて在宅看護の特性を反映したレジリエンスのプロセスを精錬させることを次年度の課題とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、ヒヤリング対象の訪問看護ステーション管理者および訪問看護のエキスパートのリクルートに時間を要し、日程調整に難渋したため。
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今後の研究の推進方策 |
専門家会議の開催および全国調査の実施が必要である。遠隔会議システムによるリモート会議等により会議の省力化を図る。 専門家・当事者パネルにより内容的妥当性を確認した看護モデルについて,全国の訪問看護ステーションを母集団とした量的調査により基準関連妥当性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス流行下において、訪問看護エキスパートによる専門家会議が予定通りに実施できなかったことにより、謝金支出が当初予算より減少したことによる。また、ヒヤリングをリモートで実施したため、会場費・参加者交通費等の開催経費が当初予算より減少したことによる。 翌年度の使用計画は、会議の実開催のための経費および全国調査の経費として支出する。
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