研究課題/領域番号 |
21K11116
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
服部 園美 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (00438285)
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研究分担者 |
早川 博子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 助教 (30722897)
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40295811)
丸岡 朋子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (40614409)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中高年者 / 認知機能 / 動脈硬化 / 神経心理 |
研究実績の概要 |
2012年から地域住民の大規模集団を対象とした疫学調査により中高齢者の健康問題,特に認知機能や動脈硬化の程度に焦点を当てた調査をおこない、認知機能や動脈硬化と知的活動との関連を明らかにした。また,2015年からは,同一人物,特定集団を5年間かけて追跡する縦断研究により認知機能の低下の過程や原因,認知機能に及ぼす生活行動の影響度合いを測るために調査を行った。その結果,日常生活行動において,知的活動を行ったり,人や地域との交流を多く行っているほど,認知機能のレベルが相対的に高く維持されていた。さらに,生活行動を取り入れた教室を開催し,効果を明らかにしたが,現在は、コロナ禍で十分な支援に至っていない状況である。 以上のように,中高年者の認知機能低下を予防する横断研究・縦断研究,介入研究にも取り組んできた。地域住民を対象に横断研究で認知機能低下に効果があった生活行動,運動の介入を高齢者に行い,認知機能低下防止につながっている。 一方,新型コロナ感染症(COVID-19)が蔓延したことで,不要不急の外出は禁止,人との交流も制限され,また,感染の不安から自宅での生活を余儀なくされている高齢者が増加した。自宅に閉じこもることで,身体機能,精神・心理機能への影響があると考える。そこで,2012年から実施している地域住民の大規模集団を対象とし,同一人物を追跡する縦断研究により認知機能の低下の過程や原因,認知機能に及ぼす生活行動の影響度合いを正確に測る。これは,10年目の追跡調査にあたり,長期的な縦断研究にもつながると考える。さらに,新型コロナ感染症(COVID-19)による身体機能,精神・心理機能影響も確認することもできる。コロナ禍の状況の中、2021年度も県内3か所の地域住民の調査を実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は,3市町村で動脈硬化健診を実施し,600人が参加した。調査内容は,基本属性および神経心理学的検査としてMMSE,注意機能を行った。動脈硬化検査として、頸部エコー,PWV(脈波伝播速度),ABI(足関節/上腕血圧比),AI(動脈硬化指数),血液検査を実施した。また,生活状況や知的活動などのアンケートも実施した。 しかし,コロナ禍の状況のなかでの動脈硬化健診のため,調査内容は簡素化され,調査時間も短縮したため,神経心理学検査は大幅に縮小されている。3市町村とも追跡調査を行っているが,データ整理の途中のため解析には至っておらず,追跡人数も不明である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,2市町村で動脈硬化健診を実施する予定である。調査内容は,基本属性,神経心理学的検査としてMMSE,注意機能を行う。動脈硬化検査として,頸部エコー,PWV(脈波伝播速度),ABI(足関節/上腕血圧比),AI(動脈硬化指数),血液検査を実施する予定である。また,生活状況や知的活動などのアンケートも実施する。コロナ禍のため市町村の担当者と協力し,感染に注意し,地域住民が安全・安心して動脈硬化健診を受けれるように支援していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の神経心理学的検査の検査種類の縮小により検査用紙の使用料金が減少した。また、学会はWeb開催となり、旅費等についても使用しなかったことから次年度に繰り越した。 今年度の使用計画としては,過去のデータと今年度の調査データの整理を行い,横断的な解析ができるようにする。
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