研究課題/領域番号 |
21K11117
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研究機関 | つくば国際大学 |
研究代表者 |
大槻 優子 つくば国際大学, 医療保健学部, 教授(移行) (10258973)
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研究分担者 |
縄井 清志 アール医療専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (50458254)
纐纈 祐子 つくば国際大学, 医療保健学部, 助教 (90738626)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 農福連携 / 認知症高齢者 / 膝関節伸展筋力 |
研究実績の概要 |
令和4年5月~令和5年4月、2か月に1回岩手県H市の福祉施設内の農作業に参加している認知症高齢者8名を対象に、等尺性筋力ミュータスF-2を用いて、膝関節伸展筋力の測定を実施した。1回の測定は、左右各々3回測定し平均値を求めた。分析方法は、等尺性筋力5回の膝関節伸展筋力測定結果を、農閑期・農繁期で比較しその変化を見た。統計処理は統計ソフトIBM SPSS Statistics 27.0を用い、有意水準5%をもって統計学的有意とした。また、測定結果が正規分布していることをshapiro-wilk検定にて確認した。その後、測定時期を対応のある要因とした一元配置分散分析を行い、p値が0.05を下回った場合、ボンフェローニの多重比較検定を行った。 認知症高齢者の農閑期・農繁期における下肢の筋力測定を行った結果、農閑期の第1回調査より、第3回10月の農繁期に有意に筋力が増加していた。これは、農作業や草むしりなどを継続的に行ったことで、自然に全身を使った運動を行うことができ、筋力の増加につながったのではないかと考える。しかし、第3回目10月農繁期と第4回1.4月の農閑期において有意差は認められなかった。これは、いずれの時期においてもある程度筋力の維持ができているからであると考える。膝関節伸展筋力が強いことは、起居能力や歩行能力が高いということであり、今回の結果から農作業を行うことで膝関節筋力の向上及び一定期間の筋力保持ができ、転倒予防やADLの維持、認知症の緩やかな進行につながるのではないかと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度4月から調査開始の計画であったが、コロナ禍において感染対策の一環として茨城から岩手県への調査が困難であったことや、対象施設の職員や研究協力者の施設利用者の方の感染により、計画を中止することが複数回生じた。
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今後の研究の推進方策 |
1.岩手県H市の福祉施設内の農作業に参加している認知症高齢者8名を対象に、生きがいについてインタビュー調査を実施した。インタビュー内容は録音し文章としてデータとした。今後は、データを質的に分析し報告する予定である。 2.1.の対象者を介護している介護支援員を対象に、農閑期・農繁期に「Zarit介護負担感尺度」による介護負担感を測定した。農閑期・農繁期を比較し介護の負担感に差があるのか分析をしていく予定である。 3.2.と同様に、介護支援員を対象に、「淡路式園芸療法評価表」を用いて農閑期・農繁期に調査を実施し分析する予定である。 4.今年度は、最終年度であることから全ての調査結果についてまとめ、報告書を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の進捗状況がやや遅れていることから、当初の初年度の必要経費が翌年に繰り下げたことによっての残額が発生している。 令和6年度の使用計画は、これまでの研究成果を学会および学術誌に発表するため、交通費掲載料に使用する。さらに、令和6年度本研究の最終年度であるため、これまでの研究経過および成果について報告書として1冊にまとめて発刊するためその費用に使用する。
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