研究実績の概要 |
わが国では40~74歳を対象に肥満やメタボリックシンドロームを標的とした特定健診・特定保健指導が法的に義務化されている。しかし、中年期の肥満・メタボ対策が高齢期のフレイル予防に貢献しているかは不明である。本研究では、中年期(40~64歳)の肥満に対する減量介入がフレイル化を予防するか否かを、20年間の追跡研究から明らかにすることを目的とした。研究代表者らが2000~2005年に茨城県筑西市明野地区(旧・明野町)および同県阿見町にて開催した減量介入研究(Tanaka, Nakata et al., Obes Res, 2004)に参加した者を改めて募集し、2023年度に総合機能評価健診をおこなう計画とした。また、同自治体に在住する同性・同年代の一般高齢者を別途募集し、同じく健診をおこない、得られたデータを比較した。2023年12月15日に、研究分担者(笹井)の所属機関である東京都健康長寿医療センター研究所にて研究倫理委員会の承認を得た。各自治体との折衝の末、筑西市では2023年12月22日・23日に45名、阿見町では2024年2月19~21日に65名を対象に総合機能評価健診を実施した。実施項目は、身長、体重、体組成、問診、血圧、過去の減量歴、体重管理状況、歩行速度、5回椅子立ち上がり、握力、栄養摂取状況、身体活動量、各種アンケートとした。2023年度内にデータ入力が完了し、現在そのデータクリーニングおよび結果の詳細な分析を実施している。具体的な分析の視点としては、過去に減量教室に参加した者は、そうでない者に比べてフレイルの該当リスクが低いか否か、またその媒介要因として、身体活動や栄養摂取状況、体重管理状況が異なるか否かを検討している。
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