研究課題/領域番号 |
21K11161
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
戸田 淳氏 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (00804618)
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研究分担者 |
細川 貴之 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (30415533)
矢野 実郎 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (30550397)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | フレイル / 高齢者 / 認知症予防 |
研究実績の概要 |
本研究では、フレイル高齢者など身体機能が低下している者が取り組める新たな認知症予防プログラムを開発することが目的である。まずは、過去の先行研究から、健常者向きに作製された認知症予防のエビデンスについて調査した。Kramerらは、60~75歳の124名の対象者を有酸素運動群(ウオーキング)と無酸素運動群(ストレッチ)に分け、6カ月間の運動効果の検証を試みた。その結果、有酸素運動群では、無酸素運動群に比べ、計画、抑制、作業記憶など、いわゆる遂行機能を要する認知機能検査での成績が顕著に改善したと報告している。認知症と有酸素運動との関連では、最も発症率の高いアルツハイマー病で抑止効果があるとの報告が多く、動物実験等からも運動による神経新生、神経栄養因子の発現、アミロイドβクリアランスの向上など、そのメカニズムも証明されつつある。臨床研究においては、Morrisらは、初期のアルツハイマー病患者76名に対し、有酸素運動群とストレッチ運動群に分けて6カ月における介入効果を検証した。その結果、有酸素運動群では、海馬の体積が増加し、記憶力の検査でも改善を認めたと報告している。またReiterらは、認知症の前段階であるMCI(mild cognitive impairment)患者14 名と健常な中高齢者(61 ~ 88 歳)16 名の皮質の厚み(cortical thickness)をMRIで計測し、ウォーキングを12 週間実施した前後で皮質の厚みを比較した研究を報告した。有酸素運動は、低コスト、低リスクであり認知症の抑止効果を実証していくことは、公衆衛生に大きく貢献するものと期待できる。今後、フレイル高齢者が安全に行えるプログラムの開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響により、フィールド調査が遅延しているが、倫理書類の提出および検査刺激の作製は順調に行えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、研究協力施設を増やし、フィールド調査を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
covid-19の影響により、予定していた学会に参加できなかった。今年度は、データ収集および学会参加の旅費として使用する予定である。
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