入院中の諸動作の自立度の経時的変化に基づいて患者を分類し、各群における諸動作の自立度変化の特徴と患者特性を調査した。 回復期リハビリテーション病棟に入院した101名の脳卒中片麻痺患者を対象とした。評価はToileting Tasks Assessment Form(TTAF)を用いて、入院から2週または4週間隔で、トイレ動作が自立するか退院するまで行われた。分析では、入院時と評価終了時の2時点の評価結果を組み合わせてカテゴリ変数が作成された。クラスタ分析を用いて患者を分類し、各クラスタに含まれる患者の特性をクラスタ間で比較した。 脳卒中患者は3クラスタに分類された。クラスタ1(n=30)は,入院時と評価終了時の双方で全諸動作の自立者割合が高かった。クラスタ2(n=41)は、入院時に全諸動作で自立者割合が低く、終了時は自立者割合が高かった。クラスタ3(n=30)は、入院時から終了時まで一貫して多くの諸動作で自立者割合が低かった。クラスタ1はクラスタ2に比べて男性が多く(p=0.023)、SIASの4つの運動項目得点が高く(p=0.011-0.041)、クラスタ3に比べて年齢が低く(p=0.033)、発症後期間が短く(p=0.007)、両クラスタに比べてMMSE(p<0.001)とFIM(運動項目:p<0.001、認知項目:p=0.004)の得点が高かった。クラスタ2とクラスタ3の間では病型の人数割合のみに差があった(p=0.027)。 これまでの研究を通して、トイレ動作を構成する諸動作の入院時とスキル再獲得における難易度、脳卒中患者の動作獲得の過程に基づくサブタイプとその患者特性について明らかにすることができた。
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