研究課題/領域番号 |
21K11183
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
黒住 千春 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (20441488)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 呼吸パターン / 嚥下 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
今年度は,データ取りを予定していた時期に新型コロナウイルスの感染予防の観点から,十分な数の被験者を得ることができず,実施できなかった。合わせて,実験の性質上,マスクを外してのデータ取りとなるため,この点からも実施が困難であった。 そこで今年度は予定を変更し,予備実験として,健常学生を対象にマスクを装着した状態での呼吸動態の記録方法について検討を行った。具体的には,マスク下でのセンサーの取り付けと安定した呼吸動態の記録方法の確立である。さらに,健常成人を対象とした,安静時の嚥下と呼吸パターンについての検討,姿勢条件を変えた場合の嚥下と呼吸パターンについての検討を行った。 マスク下での呼吸動態記録については,鼻腔下にテープでセンサーを固定し,さらにその上からサージカルマスクを装着した。マスク内で呼気が滞留することで呼吸温度は高いレベルとなるが,呼気から吸気への切り替わりのポイントは明確であり,呼吸パターンの判定には支障がないことが確認できた。しかし,呼気,吸気の長さ,無呼吸時間については,マスク内の呼気滞留による影響をさらに検討する必要があると考える。 車椅子を使用する高齢者では,骨盤の後傾,脊柱の後弯により臀部が座面の前方に移動した仙骨座りとなっていることが頻繁に見受けられる。この高齢者の姿勢を想定し,座位での前方へのズレの程度によって嚥下時の呼吸パターンに変化が生じるのかについて検討した。ズレの程度は日本シーティングコンサルタント協会が開発した「ズレ度JSCC」に基づいて,3段階を設定した。その結果,安静座位では,呼気に続いて嚥下が起き,その後さらに呼気に続くものが多く見られたが,臀部が前方へ移動することによって相対的に頭頸部の屈曲角度が増し,嚥下後に呼気から吸気に転ずるパターンを示すものが増えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は,若年者を対象とし,鼻腔に吸気呼気の温度差を描記する現有のセンサーを取り付け呼吸動態の記録を行い,嚥下反射前後の呼吸パターンの分析,呼気,吸気の長さ,無呼吸時間の分析を行う予定であった。しかし,データ取りを予定していた時期に新型コロナウイルスの感染予防の観点から,十分な数の被験者を得ることができず,実施できなかった。合わせて,実験の性質上,マスクを外してのデータ取りとなるため,この点からも実施が困難であったため,研究の進行は大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染症拡大の影響による現在の状況はもうしばらく続くことが予測される。また,改善後もマスクを着用しての実施など,条件が付される可能性が高いため,マスク装着での実施方法の検討,あるいは,被験食品を用いない形での実施など,計画の変更についても検討を重ねる予定である。 来年度は,高齢者施設でのデータ取りを考えていたが,新型コロナウイルスの感染予防の観点から,現時点で協力施設への立ち入りができず,実施困難となる可能性が高い。感染状況をみつつ,若年者のデータ取りを進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた実験が行えなかったため,予定していた機器が未購入となっている。現段階では次年度に実施予定であるため,必要機器を購入する計画である。
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