研究課題/領域番号 |
21K11190
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平野 友紀子 東京大学, 医学部附属病院, 言語聴覚士 (80868795)
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研究分担者 |
高橋 路子 東京大学, 医学部附属病院, 言語聴覚士 (80869123)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30344451)
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80372390)
大久保 和美 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10396715)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 鼻音化率計測装置 / 鼻咽腔閉鎖機能 / 口唇口蓋裂患者 |
研究実績の概要 |
口唇口蓋裂患者において口蓋形成術後の言語評価は手術の成否を決定する重要因子の一つである。既存の言語成績評価法は言語聴覚士による印象といった主観的評価、およびセファログラムや鼻咽腔ファイバー検査などの侵襲が大きい客観的な評価を組み合わせて行うことが一般的である。しかしながら、鼻咽腔閉鎖機能の評価が最も重要なのは言語獲得期である3歳から6歳の低年齢児であり、客観的な評価を用いる際に、嫌がる、泣くなどの拒否反応が起こることがしばしば見受けられる。 一方で、鼻音化率計測装置ナゾメーターは遮音版の裏表についているマイクロフォンにて鼻腔からの音声と口腔からの音声を別々に採取することにより、口腔から音圧に対する鼻腔からの音圧の比である鼻音化(N-score)を計測することができる。最新のこの器械はハンドルタイプであり子供が自分で手に持って使用することができる。 この機材を昨年度購入し、当科言語外来を受診した口唇口蓋裂患者、および頭蓋骨に異常がみられる患者、先天性鼻咽腔閉鎖機能不全の患者に使用して、データを採取した。 最年少であった4歳児も全く怖がることなく計測することができ、また正確な値を算出することができた。音声の刺激文は母音、文章と計測している。従来の言語聴覚士による聴覚印象により、患者を鼻咽腔閉鎖機能良好群と不全群に分類し、N-scoreとの比較検討を行った。現時点では、言語聴覚士による聴覚印象の分類とN-scoreのデータは概ね一致しており、ナゾメーターを用いた計測は有意義で、患者に負担をかけることがなく、また、データの信頼度も高いものと思われる。一方で、刺激文の選択は重要であり、前舌母音[i]の値は、従来の評価法の結果とずれることがあり、刺激文の選定は重要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、鼻音化率計測装置(ナゾメータ)を購入することができ、当科言語外来を受診する鼻咽腔閉鎖機能良好から不全まで様々な症状を呈する患者に、ナゾメーターを使用し、N-scoreを計測することができている。 特に年少児でも拒否が全くなく、ほぼすべての患者に使用することができること、数値として客観的なデータを算出できること、言語室などの慣れた場所で使用することができ、手術を行うかどうかの選択や術後の手術成績を図る上で非常に役にたっている。 今回、ナゾメーターを使用できた患者の刺激文のN-socreのデータを分析し、従来の言語聴覚士2023年5月27日から28日に行われる第47回日本口蓋裂学会総会・学術集会で口頭発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
機材購入が昨年度だったため、現在はまだデータ数が少ない傾向がある。 今年度はもう少しデータ数を増やし、ナゾメータを用いたN-scoreの計測を行っていきたいと考えている。また、現在は言語聴覚士による聴覚印象との比較を行っているが、口蓋形成術前の口蓋裂後端裂幅との比較もできれば行いたい。
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