研究課題/領域番号 |
21K11203
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
谷口 浩成 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 准教授 (00508955)
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研究分担者 |
脇元 修一 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (40452560)
森永 浩介 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (40734760)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 動力義手 / ソフトロボティクス / 空気圧 / 小児 / 人工筋肉 / ソフトアクチュエータ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,提案する小児用動力義手を実用レベルに発展させることを目指し,把持動作に加え巧緻動作が可能であり,義手認識機能を備えた動力義手を開発することである.研究期間の前半は,巧緻動作を実現するために義手ユーザが義手を認識することを可能とする感覚フィードバックシステムの開発と,義手を操作する義手制御インターフェースの開発を行う.そして,研究期間の後半では,動力義手の操作性や耐久性などを総合的に評価し,その結果を踏まえて改良する.これらの内容により,提案する動力義手システムを実用レベルまで発展させる. 2021年度は,感覚フィードバックシステムの開発と,義手を操作する義手制御インターフェースの開発を行った.感覚フィードバックシステムの開発では,感圧センサによる把持情報の入力手法の検討と,把持情報を体にフィードバックさせる出力装置に用いる空気袋を試作した.フィードバック装置の特性評価試験結果により,印加圧力が100から350kPaで締め付けを認識しやすいことを確認した.つぎに,義手制御インターフェースの開発では,義手の指の開閉速度を制御する方法を検討し,細径マッキベン型人工筋肉の流量制御を可能とするスピードコントローラを義手前腕内部に搭載した.また,筋電センサを用いた義手の制御システムを検討して,義手前腕内部に内蔵するための制御基板を製作し,電磁弁とともに内蔵できるように義手の構造を変更した.前腕欠損女児に足して筋電センサによる義手制御システムの動作確認を実施したところ,現状のシステムでは,ライナーやソケットとセンサが干渉するため義手への装着が困難であることがわかった.また,小児は筋肉量が少なく筋電センサの測定値が不安定で,安定的に取得するための工夫が必要であることが明かとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画おいて,2021年度の目標は,感覚フィードバックシステムの開発と,義手を操作する義手制御インターフェースの開発であった.感覚フィードバックシステムの開発では,システム開発のための基礎的な検討(センサやフィードバック装置の検討)に注力し,システムを試作するための基盤を整えることができた.また,義手制御インターフェースの開発では,筋電センサによるシステムの検討を行い,前腕欠損女児による評価試験を実施した.これらの内容から,おおむね順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,2021年度の研究結果に基づき,感覚フィードバックシステムの開発と義手制御インターフェースの開発を進める.感覚フィードバックシステムの開発では,システムを試作しその有効性について実験を通じて明らかにする.また,義手制御インターフェースの開発では,システムの改良を行い,再度前腕欠損女児による試験を実施する. また,研究計画のとおり,2022年度の後半からは,試作した動力義手システムを使い,義手技能評価テストであるSHAPを用いた評価や,日常生活を想定したモデルケースにおいて,動力義手の操作性や耐久性などを総合的に評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では,設備備品として上肢機能評価テストキット(SHAP)の予算を計上していたが,購入を先送りした.また,学会参加のための旅費を計上していたが,新型コロナウイルス感染症のため学会がオンライン開催となった.これらのことが,次年度使用額が生じた理由である.2022年度には,SHAPを導入する.また,2022年度分の予算と合わせて,研究成果発表の旅費および義手改良に伴う消耗品費等に使用する予定である.
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