研究課題/領域番号 |
21K11204
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
中野 治郎 関西医科大学, リハビリテーション学部, 教授 (20380834)
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研究分担者 |
福島 卓矢 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 理学療法士 (50779535)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | がんリハビリテーション / がんサバイバー / 酸素濃度 / 運動負荷 / 腫瘍 / 再発 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、乳がんモデルラットに対して低濃度および高濃度酸素環境下での運動を負荷し、癌細胞および骨格筋に対する影響について血液学的、組織学的、生化学的に検討することが予定であった。しかし、研究代表者の所属が異動となって研究環境の整備が必要となり、研究が進んでいない状況である。今年度は、令和4年度後半から開始するヒト対象の研究に備えて、予備調査を行った。主目的はデイケアに通うがんサバイバーの運動機能の把握と、再発する頻度を調査することである。調査対象は,2018年4月1日~2021年3月20日において関西医科大学通所リハビリテーションを利用したがん既往のある者または外来がん治療中の者とした。そして実施記録から,年齢,性別,終了時期,終了理由,および利用開始から1年後までの栄養状態,筋力,歩行能力,バランス,MMSE,フレイル基本チェックリストの評価結果を抽出した.結果、対象となったがん利用者は49名(79.3±6.0歳)で,男性が多かった(61.5%).そして49名中11名(22.4%)はがん再発または進行による終了であった.そのがん再発した者を詳細に分析すると、がん再発しなかった者に比べ、がん再発した者は通所開始時のフレイル基本チェックリスト(運動器関係)が有意に高値を示し、また握力が通所期間中に低下していた。デイケアのがんサバイバーはこのような状況にある。このがんサバイバーに対して、本課題による介入すなわち腫瘍の形成抑制を狙った酸素濃度調整環境下での運動負荷を実施し、再発率がどのように変化するかを調査していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度に予定していたモデル動物を用いた基礎実験が予定通り進まなかったのは、研究代表者の所属が異動となって研究環境の整備が必要となったこと、ならびに研究全体の進みを考慮して臨床研究の予備調査を先に進めたことにある。なお現時点では基礎実験の環境は整い、動物実験倫理委員会等の処理も終了し、試薬等も購入済みで実験開始可能な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は動物実験の方を優先的に進め、運動負荷条件の検討と安全性の確認を早急に行う。ただし,動物実験施設におけるスペースの関係によりラットの飼育が困難となることが判明したため,モデルをマウスモデルに変更し,培養癌細胞移植モデルとする.一方で、デイケアにおけるがんサバイバーの運動機能と再発に関する調査を継続する。そして将来、RCTデザインでの検討ができなくなった時、ヒストリカルコントロールとしてデータが使えるように準備しておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物を用いた基礎実験の遅延により,未購入の試薬がある.それらの試薬は令和4年度の前半に購入予定である.
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