研究課題/領域番号 |
21K11206
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
金崎 雅史 東京国際大学, 医療健康学部, 准教授 (10707871)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メントール / 呼吸困難 / 空気飢餓感 / 呼吸努力感 / 精神的呼吸努力感 |
研究実績の概要 |
間質性肺疾患患者において呼吸困難は主要な症状であり,運動耐容能,身体活動やQOLを悪化させる。しかし,間質性肺疾患患者に対する息切れの緩和方法は限られている。そこでILD患者の呼吸パターン、吸気神経 ドライブ、および吸気抵抗負荷による呼吸困難の感覚的・感情的側面に対するL-menthol嗅覚刺激の効果を調べるために無作為化比較試験を実施した。方法は間質性肺疾患患者52名を対象とし、最終的に43名が、OSMが呼吸困難に及ぼす影響を調査するための介入を受けた。吸気負荷呼吸時の呼吸困難は、Multidimesional Dyspnoea Profileの日本語版で評価した。 結果は、L-mentholによる嗅覚刺激は、shamおよびプラセボと比較して、吸気抵抗負荷呼吸時の呼吸不快感を有意に減少させた。、L-mentholによる嗅覚刺激は、shamやプラセボと比較して、空気飢餓を有意に減少させ、プラセボと比較して、精神的・身体的な呼吸努力を減少させた。しかし、L-mentholによる嗅覚刺激は、吸気抵抗負荷呼吸時の胸部圧迫感や過換気、情動的側面に有意な変化を認めなかった。また、L-mentholによる嗅覚刺激は、呼吸パターンや平均吸気流量に対して、介入間で有意差は認められなかった。また、吸気神経ドライブ指標である第二肋間胸骨近傍筋の吸気時の表面筋電図のEMGpara%maxについても、各条件で有意な変化は見られなかった。 従って、間質性肺疾患患者において吸気抵抗負荷による多次元的呼吸困難の緩和は有用である可能性が示唆された。しかしながら、本研究はまだ実験室レベルでの検証であるため、更なる研究が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が順調に進展し、研究結果が、欧州呼吸器学会雑誌(doi: 10.1183/13993003.02453-2022. ) に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、研究課題を達成しており、研究計画通り推進させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により初年度の経費使用が遅れたため、令和4年度と5年度に繰り越しを行った。従って、研究成果を公表していく中で、当初の計画に沿って、支出していく予定である。
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