研究課題
本研究ではMeDILD試験にて,L-menthol嗅覚刺激が,間質性肺疾患患者の吸気抵抗負荷時における呼吸困難の感覚的および情動的側面,呼吸パターンおよび吸気神経ドライブに及ぼす影響を検討した。MeDILD試験はランダム化比較試験(RCT)で,対象は呼吸機能障害が軽度~中等度のILD患者43例とした。患者をL-menthol群,Sham群,プラセボ群にランダムに割り付けた。L-mentholおよびプラセボ(いちご臭)は,マスクの内側に貼付したパッチから投与した。Sham群のマスクにはパッチを貼付しなかった。吸気抵抗負荷無しで2分間呼吸後(ベースライン),ランダムに割り付けを行い,吸気抵抗負荷下(20または30cmH2O・L-1・s-1)で2分間呼吸した。日本語版MultidimensionalDyspnea Profile(MDP)を用いて,吸気抵抗負荷時の最後の30 秒間における呼吸困難の感覚的および情動的側面を評価した。L-menthol嗅覚刺激はILD患者において,プラセボおよびSham群と比較して吸気抵抗負荷時の呼吸困難感および空気飢餓感を有意に減少,プラセボ群と比較して身体的呼吸努力感,精神的呼吸努力感を有意に減少させた。しかし,L-menthol嗅覚刺激による胸部狭窄感,過換気,五つの情動的側面への影響はみられなかった。また,L-menthol嗅覚刺激は,吸気抵抗負荷時の吸気流量知覚を有意に増大させたが,平均吸気流量,呼吸パターン,呼吸タイミングおよび吸気神経ドライブへの影響はみられなかった。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
European Respiratory Journal
巻: 61 ページ: 2202453~2202453
10.1183/13993003.02453-2022