ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)は脳波により電動車いすなどを制御することを可能にするインタフェースである.BMIを用いて電動車いすを制御したこれまでの研究では命令の種類が実験を通して一定であり,制御命令とBMI操作画面が一対一で対応付けられた実験専用のものであった.しかし,実用化のためにはBMIにより電動車いすの制御だけでなく,移動先での家電の制御なども必要である.そのような場合,従来のようにBMI操作画面が一対一で対応付けるだけでは不十分であり,状況に応じて最適なBMI操作画面を提供するのが良いと考える.本研究では自律走行ロボットおよび周囲の危機を同時に制御可能なBMI操作画面を開発し,その評価を行うことを目的とした. 令和3年度は小型ロボットを用いて自律走行ロボットの試作を行い,それを電動車いすにも実装した自律走行車いすを開発した.令和4年度は家電を遠隔制御できる小型無線制御装置を開発し,電動車いすと同時に家電も制御できるようなBMIシステムを開発した.そのBMIシステムの刺激提示画面生成には特徴の近い家電制御命令を並べることができるランドマークマップを応用した. 令和5年度はBMIシステムを使って家電と自律走行車いすを同時に制御可能であることを実験を通して確認した.開発した装置は公開講座にて中学生や保護者に対して実演した.またBMI操作画面には3行3列のマス目に文字で家電名または命令名を表示して選ぶものを用意し,ランダムにレイアウトした場合と,ランドマークマップを用いた場合を比較したところ,選択までの時間に差は見られずどちらでもよいことが分かった.さらに家電選択画面には従来の灰色の文字を白くする刺激よりも,スマイリーを文字の上に表示した場合のほうが一部の被験者で精度が向上することを確認した.
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