研究課題
脳卒中後の生命予後・転帰には合併症対策や全身管理が大きく影響する。申請者らのグループは,特に『低栄養』,『嚥下障害』,『口腔内環境』に焦点を当てて取り組み,低体重や低栄養が脳卒中転帰不良の規定因子であることを報告してきた。その結果からは,急性期における分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid: BCAA)による積極的栄養介入によりリハビリテーション効果の向上をもたらしサルコペニアやフレイルを改善することが,発症3ヶ月後の転勤の改善に寄与する可能性が示唆された。脳卒中急性期患者へのBCAA製剤投与による転帰改善効果が証明されれば,今後の脳卒中治療,急性期栄養管理を変化させる画期的研究であり,他の脳神経疾患における栄養管理にも変化を与えうるものとなる。最終年度には,介入研究に関する倫理委員会申請に関し,広島大学病院臨床研究開発支援センターとの協議をもとに特定臨床研究として申請し審査を受けたが,介入試験の基盤となる研究が不足しているとして承認を得られなかった。このため,介入研究を行うための基盤とすべく,低栄養や歯周病菌による脳卒中に対する影響に関する検討を継続して行った。1. 1週間後の時点で栄養が十分に投与された症例は、入院時に栄養状態がよいかどうかに関わらず転帰良好例が多かった。脳梗塞の転帰良好を示すカロリーのカットオフ値は過去の報告とほぼ同様であり,mRS 0~2に資する蛋白質およびエネルギー摂取量のカットオフ値を算出したところ、それぞれ0.812 g/kg/日および19.0 kcal/kg/dayであった。栄養管理による観察研究だが、カットオフ値を満たした症例はHarris Benedictの式で与えられるカットオフ値も満たしている(94%)。この結果,栄養補給による脳卒中患者への転機への影響やリスク因子との関連性などが明らかとなった。
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