研究実績の概要 |
昨年度、3種の中鎖脂肪酸による骨格筋への影響を検討し、サルコペニアへの有効性を考察した。本年度は、3種の中鎖脂肪酸の影響の詳細についてとくにミトコンドリアに対する影響の観点から検討した。Mitophagyはミトコンドリアを選択的に分解し, ミトコンドリア品質管理の役割を担っている。我々は中鎖脂肪酸であるカプリル酸(C8)が骨格筋分化とミトコンドリア品質管理の観点から検討を行った。実験にはマウス筋芽細胞株C2C12を用いた。C8(200µg/mL)ならびにautophagy阻害剤であるクロロキンで48時間前処理し, 分化誘導を行った。その結果, C8に対するC8+クロロキン処理はmitophagy関連タンパクであるLC-3, PINK1, Parkinが増加し, ミトコンドリア新生に関与するPGC-1αは低下した。ミトコンドリア量を示すTOM20に有意な差を認めなかった。フラックス解析によりミトコンドリア機能を検討したところ, C8に対して C8+クロロキン処理は基礎呼吸、最大呼吸、ATP産生量を抑制し, proton leak, ROSの産生が亢進した。さらにC8+クロロキン処理により, 分化マーカーであるMyo D, Myosin heavy chain発現量は抑制された。以上よりカプリル酸はミトコンドリアターンオーバーを促進することで, 骨格筋分化に寄与する可能性が示唆された。
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