研究課題/領域番号 |
21K11232
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
宮本 陳敏 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (00785892)
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研究分担者 |
兼清 健志 びわこリハビリテーション専門職大学, リハビリテーション学部, 准教授 (20525399)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 電気刺激 / 脊髄損傷 / リハビリ / 生化学的分析 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
本研究では、脊損に対する電気刺激が損傷脊髄内の中枢神経系細胞を取り巻く環境にもたらす変化を形態学的に解析するのみならず、ニューロンや各種グリア細胞の反応を遺伝子レベル、タンパク質レベルで解析することを目的とする。これによって電気刺激による神経再生の分子メカニズムの一端を明らかにすることで効果的なリハビリ方法の開発が期待できる。 2021年度は電気刺激によるリハビリを開始するタイミング、刺激の強さ等の条件を振って、運動機能の回復(BBBスコア)を指標に、より回復の顕著な条件を確定させる。条件が決まったら、FESによる脊髄組織の回復を解析する。リハビリ実施群と損傷のみの群について、脊髄組織を各種抗体(ニューロンやグリア、栄養因子や細胞増殖マーカー)を用いて免疫組織化学染色することで、軸索の再生度合いやグリア細胞の増殖度合い、シナプス形成、中心管上衣細胞の反応などを比較する。さらに、FES開始からタイムコースで脊髄組織を解析することで、FESによる損傷脊髄内の経時的な変化を明らかにする。組織学的な差が最も顕著にみられるタイミングを後述する解析に供する脊髄組織のサンプリングの目安とする。 2022年度以降は、FES実施群と損傷のみの群の脊髄からtotal RNAを抽出し、DNA microarrayを用いて各群のmRNAの発現レベルを比較することで、リハビリによる脊髄組織の応答を遺伝子レベルで網羅的に解析し、リハビリのメカニズムに寄与している因子とそのターゲットとなる細胞について、初代培養細胞系(ラット、細胞種によってはマウスから採取した神経細胞やグリア細胞)を用いて実際に細胞レベルでの応答を検証することでメカニズムの裏付けを取る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍や部品の品薄などの社会的な要因により、電気刺激機器の入荷に想定外に時間がかかったため、当初の予定よりやや遅れることとなった。入荷後、正常ラットにおける電気刺激の調整を行い、最適な刺激を与えるため、パイロット実験を実施した。その結果、機器の電気刺激の出力と電極の変更が必要になることがわかり、メーカーと調整し、機器の交換と電極の再オーダーを行い、現在電気刺激の条件検討を開始したところである。
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今後の研究の推進方策 |
まず、電気刺激の条件を決め、電気刺激リハによる脊髄損傷ラットの行動の回復を解析する。また、電気刺激リハ実施群と損傷のみの群の脊髄組織を比較解析する。脊髄組織を各種抗体(ニューロンやグリア、栄養因子や細胞増殖マーカー)を用いて免疫組織化学染色することで、軸索の再生度合いやグリア細胞の増殖度合い、シナプス形成、中心管上衣細胞の反応などを比較する。さらに、電気刺激開始からタイムコースで脊髄組織を解析することで、電気刺激による損傷脊髄内の経時的な変化を明らかにする。組織学的な差が最も顕著にみられるタイミングを後述する解析に供する脊髄組織のサンプリングの目安とする。電気刺激実施群と損傷のみの群の脊髄からtotal RNAを抽出し、DNA microarrayを用いて各群のmRNAの発現レベルを比較することで、リハビリによる脊髄組織の応答を遺伝子レベルで網羅的に解析する。個々の遺伝子変動の単純な比較のみでは差がみえてこないことも想定されるので、種々のデータマイニング(パスウェイ解析、GO解析、クラスター解析など)によってさらに詳細に解析することで、電気刺激による細胞応答メカニズムの足がかりを得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍や部品の品薄などの社会的な要因により、電気刺激機器の入荷に想定外に時間がかかったため、当初予定の損傷脊髄組織の解析用の試薬や物品等の購入に遅れが生じた。次年度は、以上に述べた今年度に購入できなかった実験にかかる予算の執行により、本研究を遂行可能である。
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