研究課題/領域番号 |
21K11233
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
今北 英高 畿央大学, 健康科学部, 教授 (00412148)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 呼吸器疾患モデル / 運動療法 / 酸素療法 / ミトコンドリア機能 |
研究実績の概要 |
世界保健機関(WHO)は大気汚染が世界的に拡大しており、世界人口の約90%が汚染された大気中で生活して、肺がんや呼吸器疾患などで年間約700 万人が死亡していると発表した。前述したとおり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺炎など呼吸器疾患は大気汚染や喫煙、ウィルスやアレルギー反応などによって罹患率が上昇し、2020年には心臓病・脳卒中に次ぐ世界の死亡原因の第3位になると予想されていた。わが国においてもCOPDの潜在患者数は530万人にも達すると報告されている。呼吸器疾患は、呼吸機能に悪影響を及ぼすだけでなく、下肢骨格筋の最大随意収縮力の低下や横隔膜筋線維の遅筋化、代謝亢進による体重減少と栄養障害なども報告されており、現在では骨格筋機能異常や栄養障害、全身性炎症などを呈する全身性疾患として捉えられている。また、未曽有の経験となったCOVID-19 感染症は、COPD の既往により重篤化させる因子となる可能性もあり、With コロナの時代の中で、呼吸器疾患における重症化を食い止めるためのアプローチは重要課題である。 本研究は、急性および慢性呼吸器疾患モデルを作成し、呼吸器疾患における横隔膜および四肢骨格筋のミトコンドリア機能障害と、並行して生じる炎症性サイトカインや酸化ストレスの変化を検証すること。さらに生体内酸素濃度に影響を与える高気圧・高濃度酸素環境暴露による単独効果と運動による併用効果を明らかにすることを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は、酸素ルームへのトレッドミル設置環境を整えるとともに、呼吸器疾患モデルラットを作成、デモ実験を実施することを予定していた。しかし、研究代表者が研究機関を異動する可能性が浮上し、そのことで、研究スケジュールが大幅に変更になることが推測され、急遽、初年度より本実験を実施した。結果、ほとんどの実験は成功し、多くのサンプルを入手することが出来た。また、補足実験や追加実験が出た場合は、畿央大学での連携研究者と調整し、実験を行っていくことで調整している。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度から令和5年度にかけては、取得した実験サンプルに対し、組織化学的・生化学的分析を実施し、解析を進めていく予定である。また、実験時に得られた生理学データ(呼吸流量、身体所見など)は、現在解析中であり、知見が得られれば、今年度もしくは次年度に開催される国内、国際学会等にて公表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に86615円の繰越となった。次年度においては、多くのサンプルの分析および解析を実施予定であり、それに関連する試薬や分析キット、消耗品に使用する計画である。
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