研究課題/領域番号 |
21K11234
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
河村 顕治 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40278974)
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研究分担者 |
井上 茂樹 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (40531447)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サルコペニア / 閉運動連鎖 / 経頭蓋直流電気刺激 / 随意運動介助型機能的電気刺激 / 状態依存性反射反転 |
研究実績の概要 |
歩行や立ち上がりなどの下肢閉運動連鎖(CKC)運動においては、膝関節を安定化するために大腿四頭筋と拮抗筋であるハムストリングの共同収縮が必要とされる。共同収縮を引き出すために、筋にかかる負荷を敏感に検知するゴルジ腱器官からの興奮性経路を介した伝達を優先させることで、下降運動指令が自動的に拮抗筋の筋活動を促進する状態依存性反射反転のメカニズムが働く。大脳皮質興奮性を調整できる機能を持つ経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と、脳からの運動指令を筋電図としてモニタリングし、それに合わせて同じ筋肉に電気刺激を与えることで主動作筋を促通する随意運動介助型機能的電気刺激(IVES)を組み合わせることにより、状態依存性反射反転のメカニズムを強化して理想的なCKC運動が行えるという仮説に基づき研究を行った。10分間のtDCSと大腿四頭筋またはハムストリングに対するIVESを併用した等速性CKC運動により、膝屈曲60度の膝伸展モーメントは有意に増加した。一般的にはCKCの状況下でも人の解剖学的構造上、大腿四頭筋優位の収縮が起こる。したがってハムストリングをIVESで刺激した時も膝伸展モーメントが有意に増大するという知見は、CKC運動における膝関節周囲の理想的なバランスの共同収縮を引き出すための方法として有意義である。 本研究の結果は、リハビリテーションやスポーツトレーニングの分野において有用である。このアプローチにより、サルコペニアや変形性膝関節症によって運動機能が低下している虚弱高齢者の下肢に対して、安全で効果的なリハビリテーションシステムが構築できる。さらに、将来的には、この手法を用いた新しいトレーニング機器の開発が期待される。
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