研究実績の概要 |
初年度は、舌の筋力トレーニングの効果指標とした嚥下関連筋の筋量および筋の質に関する評価信頼性を検証した。健常若年者7名(女性6名、男性1名、平均年齢21.2歳)を対象とし、超音波診断装置(SonoScape, JE1, Medical Corp)を用いて舌筋およびオトガイ舌骨筋の筋量、筋の質(筋輝度)を測定した。検者1名の検者内信頼性と検者3名の検者間信頼性を評価した。舌筋はコンベックス型プローブ、オトガイ舌骨筋はリニア型プローブを用いてオトガイ下面から冠状断像を描出し、各3回の測定を行った。得られた画像はImage J, ver1.53eを用いて舌筋およびオトガイ舌骨筋の筋厚(mm)、断面積(mm2)、筋輝度を計測した。評価信頼性の検討は、SPSS Statistics 26を用いて級内相関係数(ICC)を算出した。舌筋の筋厚、断面積、筋輝度のICC(1, 1)はそれぞれ0.984、0.980、0.995、ICC(1, 3)は0.994、0.993、0.998であった。検者3名によるICC(2, 1)は0.885、0.631、0.844であった。オトガイ舌骨筋の筋厚、断面積、筋輝度のICC(1, 1)はそれぞれ0.903、0.885、0.937、ICC(1, 3)は0.966、0.958、0.978であった。検者3名によるICC(2, 1)は0.845、0.648、0.473であった。結果から、いずれの測定も検者内信頼性は高かったが、検者間信頼性については、舌筋の断面積とオトガイ舌骨筋の断面積、筋輝度の評価で低い値を示した。以上より、嚥下関連筋の筋量および筋輝度の測定は同一の検者が測定した値の信頼性は高いが、複数の検者による測定では、対象部位にプローブを当てる際の統一した位置や角度、強さ、超音波のキャリブレーション等について再検討する必要がある。
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