研究実績の概要 |
前年度実施した実験の継続として、Wistar系ラットを用いて挫滅損傷による筋損傷を惹起させ、その動物にアイシングを1回施すものの解析を追加した。アイシングによってM1マクロファージの集積は減少した。アイシングはM2マクロファージには影響しなかった。アイシングはTNF-α発現、筋原性細胞数、再生筋線維のサイズの減少を引き起こした。アイシングによる筋再生の阻害はM1マクロファージに関係する現象として引き起こされていると示唆された。本研究成果はHistochem Cell Biol誌に掲載となった(Miyazaki et al., 2022)。 また、前年度から始めていた軽微な筋損傷モデルラットの作成を試みた。挫滅損傷時の鉗子にかける負荷を従来の500gから250gに変更することによって、全筋線維に対し約4%の筋線維が壊死する「軽度な筋損傷モデル」を確立できた。本筋損傷の程度は臨床の肉離れでも軽度な部類に相当すると考えられた。本モデル動物に従来の方法(Kawashima et al., 2021)と同様のアイシングを実施した。アイシングを行うと2週間後の筋線維横断面積が、無処置の動物よりも大きくなった。アイシングによってM1マクロファージの集積が減少することは従来と同様であったため、M1マクロファージが持つ二次的な筋損傷をアイシングによって抑制できたことや、炎症を早期に収束させたことが新しい再生を早期に促した可能性が考えられた。本研究成果はAm J Physiol Regul Integr Comp Physiol誌に掲載となった(Nagata et al., 2023)
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