研究実績の概要 |
初年度の研究計画は、野生型のマウス(週齢10-12, 25-28g)を用いて大動脈弓結索手術(TAC)を行うことにより、慢性心不全モデルマウスを作製し、手術後2週間経過後、心不全病態の発症を確認したのち、マウス用トレッドミル装置で運動負荷を行う。最適な運動プロトコールを作成後、各マウス群について心機能、リモデリングに与える影響を検討する。まず始めに偽手術のマウス、TACマウス(運動アリ)、TACマウス(運動なし)の実験群で運動プロトコールを設定して、運動後4週間(1週毎)の心エコー測定のモニタリングにより運動による心機能の改善を確認し、4週後に安楽死させ、心臓組織の線維化をマッソントリクローム染色により評価したところ、心臓の線維化において有意な軽減が確認された。WGA染色によって心筋細胞サイズの大きさを比較したところ、同様に改善が見られ、運動効果が認められた。次に、運動強度の違いによる心機能改善効果を検討した。運動効果が認められたプロトコールをスタンダード(4m/min, 4min, 8m/min, 8min, 12m/min, 30min;勾配なし)とし、それより低強度(4m/min, 42min;勾配なし)、高強度(4m/min, 4min, 8m/min, 8min, 12m/min, 30min;勾配20°)で走行させた。その結果、まだ有意差が得られていないものの、平均値において運動強度による心機能の改善効果に違いが表れており、現在、追加実験を行っている。同時に骨格筋においても解析を始めており、心筋と同様に、運動による分子レベルの変化などについて検討する。
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