研究課題/領域番号 |
21K11281
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研究機関 | 福岡国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
松藤 佳名子 福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 准教授 (60883246)
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研究分担者 |
山田 絵美 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (60737310)
中薗 寿人 福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 講師 (70814771)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プリズム順応 / 半側空間無視 / キメラ視覚画像刺激 / 事象関連電位 / 視線解析 / 主観的正中面 |
研究実績の概要 |
プリズム順応(PA)を左半側空間無視(USN)の患者に行うとプリズム除去後に無視が改善することが報告され、有望なリハビリテーションであると考えられている。右にシフトするPAはUSNを改善し、左にシフトするPAは健常者に無視のようなパフォーマンスを誘発するが、そのメカニズムは明らかになっていない。 本研究では、PA前後に事象関連電位(ERP)と、主観的正中面位置、線分2等分試験、グレースケールタスク等の行動指標を計測することによって、PAが視覚情報処理経路に影響を及ばしているのかを電気生理学的に解明し、さらに、注意との関連性を明らかにすることを目的としている。 ERPは第1次視覚野(V1)と第4次視覚野(V4)に絞って記録した。刺激には低空間周波数(1cpd)と高空間周波数(5cpd)のサイン格子縞によるキメラ画像と、顔のキメラ画像(恐怖顔/中立顔)を使用した。それぞれP100とN170に特異的な反応を示す刺激である。当初、ERP測定には128ch高密度脳波計を用いる計画であったが、この機器では電極装着に時間を要したため時間短縮を目的に脳波計をニューロパックに変更して実施した。ERPに加えて、PA前後の行動指標として主観的正中面位置、線分2等分試験、グレースケールタスク等を測定した。 計画に沿って、健常者を対象として実験を実施しているが、脳波計の変更や新型コロナウイルス感染症拡大防止措置の影響で実験を行えなかった時期があったため、予定の人数には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、本研究では128 チャンネル高密度脳波計を用いて ERPを計測し、2021年度中に健常者を対象としたデータ収集を行う予定であった。しかし、この装置では電極装着に時間を要するため、患者を測定するには向かないと考え、時間短縮のために脳波計をEGIネットステーションからニューロパックへと変更した。そのため、解析プログラムを変更する必要が生じた。また、刺激提示用PCと解析用PCとの接続に不具合が生じ、その対応に時間を要したため、測定が困難な時期があった。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大防止措置の影響で、実験を行えなかった期間もあった。以上の理由により、健常者を対象に実験を行っているが、予定の人数には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
健常者を対象としたERP、および行動指標の計測を継続する。さらに、十分な感染予防対策を行いながら、USN患者を対象としたデータ収集を開始する。患者の計測は入院施設で実施することが想定されるため、計測機器を施設に運び込む必要がある。現在使用しているニューロパックと関連機器を入院施設に搬入設置することは難しいため、持ち運びが容易なヘッドセット型脳波測定装置を準備して実験を行う予定である。また、現在使用しているキメラ視覚画像刺激についても改良を加えることを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用する脳波計を変更したことによる解析プログラムの変更、関連デバイスの接続の不具合への対応、および新型コロナウイルス感染拡大の影響による実験の停止等により、実験が計画通り進まなかったため、購入機材や謝金に関して予定していた金額との間に誤差が生じた。 2022年度はUSN患者を測定する計画である。入院施設での測定を想定しているが、現在使用している脳波計は入院施設へ搬入することが困難であるため、持ち運びが可能なヘッドセット型脳波測定装置をリースして実験を行う予定である。前年度未使用分と今年度予算の多くは脳波計のリース代金と被験者の謝金に充当することになると思われる。
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