研究課題/領域番号 |
21K11301
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
梅野 和也 常葉大学, 健康科学部, 講師 (30783526)
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研究分担者 |
中村 浩一 常葉大学, 健康科学部, 准教授 (00729072)
板口 典弘 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (50706637)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メンタルプラクティス / 運動イメージ / EEG / ERD / ニューロフィードバック / 両手動作 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は, メンタルプラクティスの運動学習効果と練習量・時間間隔との関係を検討し, 練習方法を確立することである.目的達成に当たり, 2022年度は「メンタルプラクティスと練習量・時間間隔との関係」を検討することを目標とし, 【研究項1】を継続して実施した. 【研究項目1】両側運動は,片側運動よりも実際の運動性能を高め,片側運動よりも運動野の活性化を高めることが報告されている.しかし,BMI(brain-machine interface)のアプローチでは片側運動のみを行うことが多く,両側運動の運動イメージ時の脳活動の変化については,依然としてまだまだ研究が求められている.本研究は,両手複雑運動のメンタルプラクティスによって誘発される事象関連脱同期(ERD)を定量化することである.また,時系列分析を導入し,メンタルプラクティスがERDに及ぼす影響を検討した.実験には,45名の健康な若年成人が参加した.メンタルプラクティスは,動作の実行を伴わないボール回転の運動イメージで構成されていた.運動イメージは,右手イメージ,左手イメージ,両手イメージの3種類であった.実験の結果,片手と両手の実際の動きに有意なメンタルプラクティスの効果が認められた.しかし,片手条件(右手)は,両手条件よりもパフォーマンスを向上させた.ERD解析の結果,2ブロック目以降の片手条件よりも両手条件のERD振幅が大きく,ピークERDが早い傾向にあることが示された.これらの結果は,ERDによって評価された脳活動の特性と実際の運動のパフォーマンスとの間に乖離があることを示している.この発見は,ERDの増加を誘発することが必ずしも運動の改善につながるとは限らないことを示唆しているため,EEGベースのニューロフィードバックの使用にとって興味深いものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の目標は, 「研究項目1」の実験データの追加収集、データの解析であったが, 以下の理由により, 「やや遅れている」と評価した.
新型コロナウィルスの影響により、医療機関でのデータ収集は難しく、対象者を健常者へと変更し、追加のデータ収集を行った。データの追加は おおむね問題なく行われた.データの解析に関してはEEGのノイズ処理や時間周波数解析,統計解析などに時間を要した。そのため, 総合的に「やや遅れている」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度のデータをもとに脳波解析を実施していたが,解析を進める中でノイズの混入が疑われ,ノイズの解析・除去を実施した.その結果数例のデータが解析から除外された.その後,ノイズの混入を防ぐ方法の検討やカットオフ値の設定などを再検討した.「研究項目1」の実験結果については,英論文の執筆が終了しており,現在投稿中である. 結果に関しては国内外の学会で報告した.今後は, 「研究項目2」として,脳波をリアルタイムで解析しフィードバックするシステムの開発とフィードバックシステムを健常者に適応したデータの収集を実施していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は,新型コロナウィルス蔓延の影響から医療機関での実験は難しく,被験者の変更を余儀なくされた.そのため,実験2へ入るのが遅れ,実験機器の購入や謝金などに未使用額が生じた.また,学会発表や研究ミーティングなどに関しても新型コロナウィルス蔓延の影響から出張が難しい状況があり,未使用額が生じた. また,実験計画変更に伴い実験使用機器・消耗品も一部変更しており,一部未使用額が発生した.このため,次年度は実験2の準備を進め,学会発表に関しても次年度は積極的な参加を予定している.未使用額はそれらの経費に充てることにしたい.
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