研究課題/領域番号 |
21K11302
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
細野 剛良 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (60294104)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ステロイド / 幼若動物 / マウス / ラット / 環境エンリッチメント / ステロイド脳症 / 行動試験 |
研究実績の概要 |
4日齢マウスまたはラットに0.5mg/体重(kg)のベタメタゾンまたはデキサメタゾンを3日間、腹腔内投与することによって、ステロイド脳症モデルを作成し、その成長の過程において環境エンリッチメントの運動・知能への効果を評価する。さらに低酸素虚血脳症モデルを作成し、ステロイド脳症との比較を行う。 (1)「現在までの進捗状況」に示した事情により、令和3年度の本研究のエフォートが低下した。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行状況の好転によるエフォートの改善が望めるようになった。ステロイド脳症モデルの方が低酸素虚血脳症モデルよりも容易に作成でき、研究の進捗競争も少ないことを再確認できたので、ステロイド脳症モデルに関する検討を本研究の主なるターゲットとすることとした。 (2)環境エンリッチメントについて、再度、その特性・特徴を確認した。そこで種々の環境エンリッチメント類(セーフハーバー、マウスイグルー、ガミーボーン、シェファードシャック、マウストンネル、クロールボール、紙管エンリッチメント)について、実際に飼育ケージ内におき、モデル動物、環境エンリッチメント、床敷きとの位置関係を確認した。その結果、紙管エンリッチメント、マウスハーバーを、今後の環境エンリッチメントとして使用することとした。 その他、(3)行動実験の状況をビデオで再確認できるようにした。汚れの目立ったモーリス水迷路のゴールの更新を行った。(4)以前の研究において、測定終了後の脳の解剖学的サイズの評価に困難があったため、デジタルマイクロスコープ実体顕微鏡を試用し、研究進展効果が大きいことが判明したため、これを導入した。(5)研究者が滞在する動物実験室の換気を改善した。感染リスクが減り、研究進捗を改善する効果がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの職域接種が大阪電気通信大学においても実施された。研究申請時には全く予想されなかったことである。私は大阪電気通信大学において医師免許を有する数少ない教員・研究者として、大阪電気通信大学におけるワクチンの職域接種の責任者に就任した。職域接種の準備・実施期間には、ワクチン接種するクリニックの開設手続きや様々な医療機器・器具の準備を行った。ワクチン接種実施に際しては、合併症のある者へのワクチン接種の可否の判断、副作用疑いの身体反応を示した者への対応、副作用として報告するか否かの要否の判定などの業務などが私に託された。ワクチンの職域接種の効果が現れ、大阪電気通信大学内における新型コロナ感染症の発生は散発的なものに抑えられ、職域の健康は守られたが、職域接種の実施期間とその前後の約5ヶ月程度の期間、本課題のエフォートは、課題申請時に想定した30%より大きく低下してしまった。このエフォートの低下は、今回の研究の進展の遅れの主因となったと考えられる。国策であるワクチン接種の推進・参加・協力したことによるエフォートの低下に起因する研究の進捗の遅れである。
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今後の研究の推進方策 |
(1)デジタルマイクロスコープ実体顕微鏡を使用して、モデルのマウスの脳の大きさの3次元的な測定と、電子化した上での情報の保存を行う。デジタルマイクロスコープ実体顕微鏡は、昨年度末に導入した。画像の記録・保存に必要な記憶媒体を追加して、研究成果を保存できる。 (2)11.6インチモニタ付きデジタルカメラ搭載の光学顕微鏡が、脳の細胞数のカウントや脳の面積測定に有用であることがわかり、かつ30万円程度と本研究の予算内で無理なく導入できることが判明した。速やかに、これを導入し、研究の進展に寄与させる。こちらでも、画像の記録・保存に必要な記憶媒体を追加して成果保存する。実験データの電子化を容易にさせるソフトウエアを導入する。これらは研究の進展を促す効果が期待できる。 (3)実験状況の保存・見直しを可能とするために、行動実験の様子をビデオ記録する。測定状況の再確認が可能となる。ビデオ記録はハードディスク、ブルーレイなどに保存する。 (4)新型コロナウイルス感染症の極期には研究補助者の確保に困難があったが、ワクチンの投与がかなり広まった環境下では、その確保が可能となってきた。さらに、また新型コロナウイルス感染症ワクチン投与業務に就いて得た経験から、感染の恐れのない研究環境の改善が実現できた。これによって、研究補助者の雇用、また高学年学生による実験の補助が可能になる。また、感染の恐れのない研究環境は研究推進が期待できる。 (5)新型コロナウイルス感染症による研究の進行の遅れは、逆に研究計画の見直しにつながった。研究効率を改善する様々な方策を実施する。今年度は新型コロナウイルス・ワクチンの大阪電気通信大学における職域接種を担当する予定はない。令和4年度末には、第100回日本生理学会大会(京都市)において成果発表し、今後の研究の方向性について、専門家にレビューを受ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究により得られているマウス脳のサイズの評価のためのIデジタルマイクロスコープ実体顕微鏡(306680円)の購入を要した。超過分については、次年度の学会参加予定(第74回日本産科婦人科学会、福岡市、2020年8月)を減ずることにより、対応する。
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