研究課題/領域番号 |
21K11305
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
藤澤 義範 長野工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (00342494)
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研究分担者 |
伊藤 祥一 長野工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (10369978)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 指点字 / 盲ろう者 / コミュニケーション / ウェアラブルデバイス / プライバシー |
研究実績の概要 |
本研究では,指点字を使った入出力デバイスの開発とそれを使ったWebシステムの開発を行う.指点字は通訳者が盲ろう者の指先の第一関節と第二関節の間を手の甲側から直接指で叩いて伝えるのが一般的であるが,この方法では,盲ろう者のプライバシーは守れない.また,通訳者がいない環境においては,情報の伝達が非常に困難な状況に陥ってしまう.これまでに指点字を使って情報を伝達機器の開発は行われてきたが,いずれの機器も指の甲側から指先を刺激するため,機器そのものが非常に大きくなり,持ち運びが難しい.また,無線LAN等の通信装置も無いため,用途が限定されてしまっている. 令和3年度は,指点字を伝える部分として「指先の第一関節と第二関節の間の甲側」が妥当であるかを検証する計画であった.これまでに我々は,視覚障害者が使用する点字ディスプレイで使われる点字セルという8点点字を表現できるデバイスを用いて,指先の腹皮から指を刺激してどの程度の割合で伝わるのかを検証してきた.結果は3割程度であった. 我々としては,令和3年度にはこの結果をどのようにして向上させるかを検討し,実験する予定であったが,点字セルの入手が遅れたことやコロナ禍での対応などで計画通りに研究をすすめることができなかった.そこで,急遽入手性の高い,別のデバイスを使い,指点字の入出力デバイスの設計を行った.現在,プロトタイプまで完成しており,今後指点字の伝わり方についての実験と検証を行う. 合わせて点字セルを用いた機器開発も行い,指点字の伝わり方の比較ができればとよいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は,これまでの研究成果を踏まえ,「指の第一関節と第二関節の間の甲側」以外の場所で指点字を効率的に伝える場所を検討することを計画していた.しかし,年度当初の点字セル調達の遅延により,計画が遅れることがわかったので,急遽,入手性の高い別のアクチュエータを検討して指点字の入出力デバイスの開発を行うことにした.現在,プロトタイプはできており,これを使って実験を進める予定である.また,点字セルも調達することができたので,これまでに開発していた指点字の入出力デバイスを複数開発して実験を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
点字セルを使った入出力デバイスを使った指点字の伝わり方の向上について,その方法を検討する一方で,指以外の場所で指点字を伝える方法についての検討も行う.また,点字セルが指点字を伝える最善の方法とは限らないため,点字セル以外のアクチュエータで指点字を伝える方法についても検討し,点字セルを使った場合とそれ以外の場合とでどの程度の差があるのかを比較する予定である.具体的には,振動モータ やソレノイドが挙げられる.既存の機器にはこれらのアクチュエータが使われているものもあるが,全体として大きくなってしまったり,消費電力が大きくなってしまったりする.しかし,正確に伝えることが可能であれば,これらのアクチュエータを利用した開発も検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
指先に伝わる刺激を測定するセンサを調達を検討していたが,本研究の計画時に予定していたセンサでは,測定できないことがわかり,センサの選別を行っており,予算の執行に至らなかった.また,旅費については,コロナ禍ということで,執行できていない.今後は,指先の刺激をどのようにすれば定量的に計測できるかを検討して測定装置の調達を行う予定である.
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