研究課題/領域番号 |
21K11307
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
三木 啓資 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター, 研究員(移行) (50740388)
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研究分担者 |
福井 基成 公益財団法人田附興風会, 医学研究所, 副所長 (50342697)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | COPD / 息切れ / 換気制限 / 声門 / 上気道 / 呼気圧負荷 / トレーニング |
研究実績の概要 |
永らく、下気道疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)の換気制限は末梢気道によるとされ、須らく末梢気道を標的とする吸入薬中心の治療がなされるも換気制限に伴う息切れのため十分な運動耐容能獲得には至らなかった。我々は、COPD 患者が息切れなく動くには 3 つの因子から成る呼吸システムによる至適な調節を想定しており、即ち、縦隔外中枢気道である声門を含む気道閉塞、呼気気流制限、内因性 PEEP を含む気道内圧の各因子が楽に動くために病態に応じて至適レベルになるよう患者個々で調節されていると考えている。本研究の目的は、上気道、特に運動中の声門の動きに着目しながら全病期のCOPDを対象に、3ヵ月間の呼気圧負荷トレーニング(EPT)を行い、心肺運動負荷試験で測定された運動耐容能を評価項目とする多施設無作為化コントロール比較試験で検証することであった。その試験を完遂した結果、EPT後、全病期のCOPDで運動中の声門開大化と伴に漸増負荷試験での最高酸素摂取量向上および定常負荷試験での運動持続時間延長が得られた。重症-最重症症例においてはEPT後、自覚症状(SGRQスコアー)の改善も得られた。EPTに関連する重篤な有害事象は報告されず、EPTの忍容性は良好であった。下気道疾患である COPD の換気制限が上気道の声門閉塞に影響しているという新たな疾患概念、加えて上気道調節が 日常生活における機能的活動レベルを超えた運動耐容能の獲得に繋がるという新たな治療概念に結び付くかもしれず、今後、大規模研究による異なる臨床シナリオでの検証が待たれる。
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