本研究申請では、脳卒中後のリハビリに革新をもたらす技術としてブレイン・マシン・インタフェース(BMI: Brain-Machine Interface)技術を使った下肢運動に関連したリハビリテーションシステムの実用化への壁となっている課題:①左右の足運動脳波識別、②訓練効果の定量化、について解決することを目指した。 ①左右の足運動脳波識に関しては、16チャンネルの脳波データを利用して、右足と左足の単体での運動では、識別率が68%となるが、同時での運動や立ち上がり動作、歩行のような協調的な運動においては、また異なる傾向があることが分かった。また少人数の被験者においては、経頭蓋交流電気刺激前後で脳波データ比較を実施したが、予想に反して、顕著な差を見出すことはできなかったため、現時点においては、経頭蓋交流電気刺激をBMIシステムに組み込むことの優位性は見出されなかった。 ②訓練効果の定量化については、仮想現実を使った歩行評価システム(GRAIL)にて健常者23名の歩行データを収集した。脳卒中患者での介入研究については、本研究期間内で実施することはできなかったが、今後の下肢用BMIの開発に向けて、臨床データと比較可能なデータを収集することができた。本研究により今後のBMIリハビリの実用化に向けた取り組みが一層促進され、脳卒中患者らの将来的な利益増大に大きく貢献できるものといえる。結果については、解析をさらに進めたうえで、学会や論文誌上での発表を目指す。
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