研究課題/領域番号 |
21K11322
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研究機関 | 東京医療学院大学 |
研究代表者 |
内田 学 東京医療学院大学, 保健医療学部, 准教授 (80531475)
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研究分担者 |
山口 育子 東京医療学院大学, 保健医療学部, 准教授 (00645468)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 姿勢 / 円背条件 / 嚥下機能 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(Parkinson disease)の疾患特性として、姿勢反射障害や全身の筋強剛に支配された結果、体幹の屈曲姿勢が目立つ。我々は、健常人に対して疑似的に体幹の屈曲姿勢(円背条件)を作成し、嚥下機能として舌圧や顎二腹筋の筋電図(積分値)が低値を示すこと、及び咳嗽力(cough peek flow)が抑制される事を過去に報告(J.Phys.Ther.Sci.35:593—597,2023)した。本研究においては、強制的に屈曲姿勢(円背)を強いた中での検討であり、異常姿勢によって出現してくる強剛や運動機能の特性は把握できていなかった。したがって、健常成人を対象とした運動機能と嚥下機能、口腔機能にも焦点をあてた追加研究を実施している。運動機能としては、構造的な特徴を指標とする円背指数、握力、下肢筋力、バランス能力(functional reach test)を採用した。口腔機能としては、開口量、相対的喉頭位置、嚥下機能として反復唾液嚥下検査(RSST)を実施した。RSSTは、円背指数、バランス能力と相関を示し、他の要素は無相関であった。この結果は、嚥下の指標が口腔機能に影響を受けていないという事を意味しており、むしろ姿勢の異常(円背指数)に強い関連を示す結果であった。姿勢の異常はバランス能力の結果であり、本研究で対象としているパーキンソン病などは姿勢反射障害が出現する事から大変重要な視点として捉えている。健常成人を対象にしてきていることから、次年度の研究では予備研究を背景として、実際のパーキンソン病患者を対象に調査を実施する予定である。現在は、対象者の選定条件を調整中であり、可能な限り早期に同意書を交わした上で測定を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の進捗は遅れている。新型コロナウィルス感染症が5類に移行した後ではあるが、医療現場ではクラスターが起き続けており、我々が研究環境として協力を依頼した施設も例外ではなかった。3施設で測定を実施する準備を進めていたが、全ての施設で間欠的に新型コロナウィルス感染症、インフルエンザ陽性者が出現している状況であった。外部からの入館が規制される期間が非常に長く、円滑に測定が実施できない状況であったことから、本研究は1年間の期間延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、新型コロナウィルス感染症も陽性者が減少傾向にある。当初は36名のパーキンソン病患者と同意書を交わす予定であったが、15名の患者に感染が認められていた。当初の運動機能とは大きく変容したことで、ドロップアウトになってしまっている。残りの21名に対する同意書の作成、測定を開始すると共に、N数を増やす為に他の協力機関との契約などを進めていく予定である。 6月から新規の測定を開始する。その後、解析などの時間を確保するために年内に測定を終了させる予定としているため、段階的に測定を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来であれば、本年度で研究が終了する予定であった。しかしながら、新型コロナウィルス感染症の影響を受け研究計画が大きく遅延する事象となった。同意書を交わしていた対象者も陽性となり、測定が困難になった事象が立て続けに生じた。以上の理由から、2022年度の研究計画から遅延が生じていた事で、1年間の延長を依頼した。本年度に支出する予定であった対象者への謝金、機材購入費、学会参加費などの予算を2024年度に繰り越すこととしたことから使用額が発生している。
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