研究課題/領域番号 |
21K11325
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
東本 有司 近畿大学, 医学部, 教授 (70316115)
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研究分担者 |
白石 匡 近畿大学, 大学病院, 技術職員 (20832827)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超音波画像診断装置 |
研究実績の概要 |
昨年までの研究で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、超音波診断装置(US)にて測定した横隔膜移動距離(maximum level of diaphragm excursion: DEmax)は、運動耐容能及び、運動時呼吸困難の主な原因と考えられている肺動的過膨張(Dynamic lung hyperinflation: DLH)とも関連が強いことが分かった。本年度は、呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の効果にDEmaxが関連しているかを検証した。 方法:62名のCOPD患者を対象にして前向きの観察研究を実施した。3か月間の外来呼吸リハを実施した前後で6分間歩行距離を測定し、30m以上増加した症例を効果があった症例(Responders)とした。DEmaxはUSで測定した。 結果:Respondersが30例で、Non-respondersが 20例であった。Respondersはnon-respondersに比べて、呼吸リハ前の一秒量が多く、6分間歩行距離が長く、最大吸気圧が高く、大腿四頭筋力が強く、DEmaxが高かった(p < 0.01)。これらの因子の多変量解析の結果、DEmaxは6分間歩行距離の増加と最も強く関連していた。DEmaxによるRespondersを予測するROC(receiver operating characteristic)曲線のAUC(area under curve)は0.915で、感度83%、特異度95%と高い予測精度となった。 結論:DEmaxで呼吸リハによる運動耐容能改善効果を的確に予測できることが分かった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症蔓延のため、以前として外来呼吸リハを積極的に実施できる状況ではない。ただ、徐々に外来呼吸リハを実施する症例が増えてきていている。 RCT研究に参加するCOPD患者も増えてきたため、本年度から来年度にかけて、予定の症例数に到達する目途がたってきた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染状況が安定すれば、感染対策を実施しつつ、迅速に症例を集積していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:新型コロナ感染症蔓延のため、RCT研究の参加患者数が確保できていなかった。予定よりも遅くなっていることと、コロナ感染防止のため国際学会発表もできず、次年度に発表が延期されたり、雑誌投稿が遅れているため。 使用計画:研究結果を国際学会にて発表予定のため、旅費や参加費として使用する予定である。また、その後、国際誌に投稿するための投稿費用に使用する。
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