研究課題/領域番号 |
21K11328
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
佐伯 覚 産業医科大学, 医学部, 教授 (20269070)
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研究分担者 |
松嶋 康之 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10412660)
伊藤 英明 産業医科大学, 医学部, 講師 (30609201)
越智 光宏 産業医科大学, 医学部, 講師 (60646941)
蜂須賀 明子 産業医科大学, 医学部, 助教 (90646936)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非侵襲的大脳刺激 / 非特異的腰痛 / 除痛 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
腰痛の有訴率は高く、休業など社会経済的損失は極めて大きい。原因が未特定の非特異的腰痛(NSLBP)が腰痛全体の85%を占めている。NSLBPは原因が特定できず難治であり、新たな治療法の確立が求められている。 近年、NSLBPと中枢神経系との関連が指摘されている。NSLBPの発症には身体要因のみならず社会心理学的要因の関与も推定され、その中でも中枢神経障害性疼痛や破局的思考との関連が疑われているが、未解明の部分が多く治療方法が確立していない。上記の中枢神経障害仮説に関しては、イメージングにより慢性腰痛患者での背外側前頭前野、右後視床部や帯状回の灰白質密度減少、疼痛刺激に対する中脳水道周囲灰白質の有意な血流低下が認められることから、下降性疼痛抑制系(DPIS)の機能低下を招いていることが示唆されている。NSLBP患者のDPISの機能低下が認められることから、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)によるDPISの賦活が除痛をもたらすことが想定されているが、現時点でその効果は不定である。 そのため、本研究ではNSLBP患者を対象に、現時点で最も有望な運動皮質(M1領域)をターゲットとして、tDCS治療群とSham(偽刺激)治療群の2群に振り分けた無作為化臨床試験を実施し、短期的及び中長期的除痛効果を検討する。あわせて、DPISに関与するバイオマーカーである脳由来神経栄養因子(BDNF)血中濃度を測定し治療効果との関連を検討する。以上により、NSLBPに対して、tDCS治療の効果を明らかとし、本法の臨床適用を確立することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学内の臨床倫理委員会を受審し、研究実施の許可を得た。研究計画に沿って、予備研究を開始し研究実施体制を整えるとともに、対象者をリクルートした。 コロナ禍でもあり、被験者を受け入れる本学大学病院の診療制限もあり、被験者のリクルートや継続診療が十分実施できない状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
被験者のリクルートに関しては、介入前の段階でPCR検査を徹底するなど、受け入れ態勢を強化し進めてゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は新型コロナ感染症の影響で被験者のリクルート、介入治療の受け入れが困難となり十分な研究が実施できなかった。BDNF濃度測定には、測定値の信頼性の観点から一括測定が望ましく、全ての対象患者の介入治療後に実施することとし、最終年度にまとめて実施する予定である。そのため、当該検査に係る人件費や検査費用については、最終年度に繰り越すこととした。
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