研究課題/領域番号 |
21K11333
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
入江 徹 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (30609839)
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研究分担者 |
金井 理 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (90194878)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 寛骨臼形成不全 / 三次元的骨形態解析 |
研究実績の概要 |
スポーツ障害による関節唇損傷、軟骨損傷の主因の一つとして、寛骨臼形成不全による関節不安定性と寛骨臼外側への応力の集中があります。そして寛骨臼形成不全は、主に両股正面X線像によるlateral center-edge angle (LCEA)によって診断され、種々のLCEA計測法が報告されています。また病態評価に際しては三次元的に骨形態を評価する重要性が指摘されていますが、正面像での種々のLCEA計測点が三次元的に寛骨臼上のどの位置に相当するかは解明されていませんでした。そこで我々は、独自のソフトを用いてsourcil-edge LCEAに相当する骨盤座標系で最も頭側の点、maximum bone LCEAに相当する寛骨臼上の最も外側の点、CTでのLCEA計測に頻用される大腿骨頭中心冠状面と寛骨臼辺縁が交わる点が三次元的に寛骨臼上のどの位置に該当するかを算出する独自の解析方法を確立し報告しました。 寛骨臼形成不全の治療方針決定には三次元的な寛骨臼被覆の把握が重要で、通常、前方、後方等の被覆状態に基づいて「anterior deficiency」、「posterior deficiency」 など 3または4型に分類されます。そしてその分類にはacetabular sector angleが頻用されるが、計測部の局所的な被覆状態や撮像時の骨盤傾斜の影響を受けるという問題がありました。そこで我々は独自のソフトを用いて、寛骨臼開口面の法線ベクトルを算出し、三次元的な寛骨臼被覆状態を評価、分類する全く新しい発想に基づく分類方法を確立し報告しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度我々は、偏心性寛骨臼回転骨切術、湾曲内反骨切術、人工股関節全置換術を実施された16歳から60歳の患者の術前CT画像より作られた3次元骨モデルを用いて、臥位機能的骨盤座標系(直行座標系)と寛骨臼clock face座標系(寛骨臼切痕: 0°、前: 90°)を同一股に同時に設定し、独自のソフトを用いて寛骨臼辺縁を放射上に1°間隔で抽出し、2種類の座標系で対比することにより、sourcil-edge LCEAに相当する点、maximum bone LCEAに相当する点、CTでのLCEA計測に頻用される大腿骨頭中心冠状面と寛骨臼辺縁が交わる点が三次元的に寛骨臼上のどの位置に該当するかを算出する独自の解析方法を確立しました。 また、我々は独自のソフトを用いて、3次元骨モデルから抽出された寛骨臼辺縁の点の集合から寛骨臼開口面の法線ベクトルを算出し、それを寛骨臼窩中心点と大腿骨頭中心点を結ぶ線からなる寛骨臼参照軸と対比することにより寛骨臼形成不全の重症度の影響を受けずに三次元的な寛骨臼被覆状態を評価・分類する方法を確立しました。本方法は、計測部の局所的な被覆状態や撮像時の骨盤傾斜の影響を受けない、全く新しい発想に基づく分類法です。 研究初年度、我々は「寛骨臼開口面の法線ベクトル」などの独創的な骨形態パラメーターを発想し、その定量評価法を確立し、また実際の症例による予備的研究で、その妥当性を検証し報告しました。本研究の主要部分である、関節適合性・不安定性に関連しうる独創的な骨形態パラメーターの定量評価法を確立しつつあり、おおむね順調に推移していると考えています。
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今後の研究の推進方策 |
「大腿骨頭窩と寛骨臼窩の三次元的位置関係性の定量評価」、「寛骨臼辺縁の曲率変化の定量評価」等の関節適合性・不安定性に関連しうる独創的な新規骨形態パラメーターの定量評価法の確立をさらに進めます。 また新規CT DICOMデータから「3D医用画像処理ソフトウエア(Materialise Mimics)」を用いて、寛骨臼、大腿骨の三次元骨表面モデルを多数作成し、初年度に評価方法が確立された「Lateral center-edge angleと寛骨臼辺縁の間の三次元的位置関係性評価」や「寛骨臼開口面の法線ベクトルに基づく新規寛骨臼形成不全分類」等の新規パラメーターの計測を実症例で進め、症例数を増やすことにより、その評価法の妥当性の検証やカットオフ値の設定、「acetabular sector angle」等の既存の各種パラメーターと本研究での新規パラメーターの関連性の評価等を行っていきます。 さらに並行して偏心性寛骨臼回転骨切り術等の関節温存手術を実施する患者の術前評価として実施する両股関節内・外転、屈曲・伸展の動態撮影から二次元動態撮影像を得て、 二次元・三次元レジストレーションソフトウエア(Joint track, SourceForge, USA)を用いて、二次元動態撮影画像と三次元骨表面モデルを統合することにより股関節中間位に対する内・外転、屈曲・伸展動作時の大腿骨頭移動量と方向、大腿骨回旋方向を三次元的に定量評価する方法の確立を進めます。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は関節適合性・不安定性に関連しうる独創的な新規骨形態パラメーターの定量評価法を確立することを優先し、既存の三次元骨モデルを用いて研究を進めました。新規のCT DICOMデータから新規骨モデルを作成する作業は2022年度以降としたため、「3D医用画像処理ソフトウエア(Materialise Mimics)」とそれに用いるワークステーションの購入を初年度に行う必要性が生じなかったためです。
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