研究課題/領域番号 |
21K11350
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
田中 佑人 大阪歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (10711038)
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研究分担者 |
冨田 洋介 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 講師 (10803158)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 噛み締め / 脳振盪 / スポーツ歯学 |
研究実績の概要 |
スポーツ関連脳震盪は、頻度の高さと重篤な後遺症のため、競技者の健康を著しく脅かす。歯科医学分野でも脳震盪予防に関する研究は注目されており、噛みしめによる頭頚部固定本研究では、噛みしめの脳震盪予防効果の議論に一定の決着をつけることを目的とし、外乱刺激時の噛みしめ有無によって頭部への衝撃にどの程度の差が生じるのかを調べることとしている。現段階では、歯科的、整形外科的に問題のない若年者7名を対象とした。咬筋、顎二腹筋の筋活動を表面筋電計を用いて、咬合接触圧を圧力測定システムを用いて、頭部加速度を加速度計を用いて測定した。被験者に振り子荷重装置で衝撃を加えた。実験条件は、噛みしめの指示をした場合、指示をしなかった場合の二条件とした。評価項目は、咬筋と顎二腹筋の活動の、開始、最大増加量および最大活動時期と、頭部加速度の、開始、最大値、および最大値を迎えた時期とした。各評価項目を、筋肉間(顎二腹筋 vs 咬筋)と条件間(噛みしめ指示なしvs 噛みしめ指示あり)で比較を行った。噛みしめを指示しなかった場合、被験者は衝撃時に咬合接触せずに開口筋と閉口筋を共同収縮させることで、顎を固定していた可能性が示唆された。噛みしめの指示した場合、開口筋の活動や頭部加速度に、指示しなかった場合との違いはみとめられなかった。以上のことから、予測可能な衝撃負荷時の頭部加速度に関して、咬合接触せずに開口筋と閉口筋を共収縮させた顎位が本質的な反応である可能性が示唆された。一方で噛みしめは、咬合接触せずに開口筋と閉口筋を共収縮させた顎位以上には寄与しない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度から2023年度の研究期間内で、2022年4月時点で到達すべき目標を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2021年度から2023年度の研究期間内で実験①と実験②に分けられるが、実験①のデータ取得は終了しているのでそれをもとに論文執筆にとりかかる。また、2022年8月頃を目途に実験②の被験者のリクルートを開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
咬合圧計測システム(T-scanシステム)の新バージョンを購入して計測を開始する予定であったが、海外製であるため取扱業者や製造元の都合で、納期が遅れると想定された。したがって、現時点では旧システムを使用したため、新バージョン購入のための予算を執行しなかった。なお、2022年4月時点では、すでに購入可能な段階になっているようなので、随時バージョンアップしていく予定である。
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