研究課題/領域番号 |
21K11351
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
中原 英博 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (90514000)
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研究分担者 |
宮本 忠吉 大阪産業大学, スポーツ健康学部, 教授 (40294136)
上田 真也 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (40616926)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 鍼刺激 / 運動パフォーマンス / 呼吸循環応答 |
研究実績の概要 |
本年度の研究は,鍼刺激が運動時呼吸循環応答及び運動パフォーマンスに及ぼす短期的効果の検証を行うことであった。 運動部に所属するもしくは運動経験のある18歳から29歳の29名(21.2±2.0歳)を被験者とした。先ず被験者は,実験前にランプ負荷試験によって最大到達負荷を測定し,その後以下の4条件で測定を行った。1)鍼刺激を10分間行った後,最大運動負荷の100%の負荷量で1分間運動を行う。2)鍼刺激なし10分間安静後,最大運動負荷の100%の負荷量で1分間運動を行う。3)鍼刺激を10分間行った後,最大運動負荷の20%の負荷量で1分間運動を行う。4)鍼刺激なし10分間安静後,最大運動負荷の20%の負荷量で1分間運動を行う。それぞれの条件は別の日に実施し,順番はランダム順序で実施した。心拍数および血圧を実験中連続的に測定した。それぞれのデータは,実験中コンピューターに記録し,測定後解析を行った。鍼の刺激条件は,我々の先行研究において最も効果的に徐脈・降圧効果が認められた下腿部(足三里穴)において行い,刺激頻度は1Hzの刺激条件で実施した。 その結果,鍼刺激によってもたらされる徐脈効果は,その後短時間の運動を実施しても一定期間維持されることが明らかになった。しかしながら,この鍼刺激がもたらす効果は140拍/分以上の高強度運動時には消失することも示された。これらの結果は,運動前に鍼刺激を行うことで,運動中の酸素利用効率を高めることにつながる可能性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ下の状況であるにも関わらず,鍼刺激が循環応答及び運動パフォーマンスに及ぼす短期的効果について,心拍数と血圧応答の観点から明らかにすることができた。しかしながら,呼吸及び筋の酸素取り込み能などの詳細な検討は実施することができなかったため,来年度以降で感染状況を確認しながら行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
短期的効果については,鍼刺激が運動時の呼吸諸量の応答や筋への酸素取り込み能にいかなる影響を及ぼすのかを検討することを計画している。 また,長期的効果については,24時間測定可能な心拍計・血圧計を用いて,鍼刺激が運動後の心拍数および血圧応答にいかなる影響を与えるのか,長期的な効果を検証することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の実験で得られたデータをもとに,学会および研究打ち合わせを行う予定であったが,コロナ下であったため,オンライン対応もしくはキャンセルすることとなった。次年度以降に,成果報告等を積極的に行う予定にしている。
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