研究課題/領域番号 |
21K11359
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
原 友紀 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 総合外科部, 医長 (30431688)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 内側側副靭帯 |
研究実績の概要 |
本研究で計画している研究1から5のうち,以下の研究を実施した. 【研究1:大学野球選手を対象としたスポーツによる肘関節内側障害の分類】概要:比較的均一な母集団と考えられる大学野球選手を対象に、野球歴・既往歴・現症(疼痛や傷害の有無)・全身の運動器メディカルチェック項目(関節可動域、弛緩性、筋力、圧痛、各種ストレステスト)、肘関節エコー検査、肘関節高分解能MRIを実施し、データを解析する。肘関節エコーでは、自然肢位・3kgの外反ストレスの負荷したときの関節裂隙の開大距離、靭帯長、靭帯厚の測定を臥位および座位で実施した。選手を症状別に群分けし、症状と関連する項目を抽出した。 【研究2:モーションキャプチャーによる肘関節角度変化を用いた肘関節不安定性の推定とMRI・エコー所見の対比】概要:研究1の被検者のうち、既往歴・自覚症状・画像所見の異常のあるUCL損傷群6といずれも存在しない非損傷群6名を抽出し、光学式モーションキャプチャーシステムを使用して投球側上肢の動きを解析し、両群で標識の変位角度の差異を検討することで肘関節不安定性の指標となるかを検討した。 【研究3:肘関節内側の経年的変化と障害発生時の所見に関する縦断的研究】概要:大学野球選手のメディカルチェックとして入学時より定期的・継続的に研究1のデータを取得する。4月、9月、1月の年3回データを蓄積し、各選手のデータの変化を縦断的に検討した。障害発生時には即時に臨時メディカルチェックを実施し、データを取得した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19感染症蔓延のため,小学生および中学生の野球肘検診を実施することができなかった.そのため【研究4:肘関節内側障害の年代別の病態比較検討】における小学生・中学生データを取得することができなかったので,研究4が実施できていない.そのかわりに,研究1を発展させ,肘関節内側のエコ-所見を深層学習によりAIで自動診断できるシステムの開発に着手した.しかしこの深層学習にも小学生・中学生のデータは必要であり,研究全体の進捗としてはやや遅れていると判断した.また【研究5:競技による肘関節内側障害の差異に関する検討】についても野球部以外の競技団体の協力が得られず(COVID19感染のため),データが取得できていない.
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今後の研究の推進方策 |
【研究1:大学野球選手を対象としたスポーツによる肘関節内側障害の分類】,【研究2:モーションキャプチャーによる肘関節角度変化を用いた肘関節不安定性の推定とMRI・エコー所見の対比】,【研究3:肘関節内側の経年的変化と障害発生時の所見に関する縦断的研究】は計画どおり実施できており,最終年度となる今年度はデータをまとめて公表することに注力する.【研究4:肘関節内側障害の年代別の病態比較検討】【研究5:競技による肘関節内側障害の差異に関する検討】については対象となる団体での検診の実施を目指し,データ取得に努める.また肘関節内側のエコ-所見を深層学習によりAIで自動診断できるシステムの開発について工学系研究者と手法の開発を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として1万円以下の金額が残った。基金になったのだから年度内にぴったしに合わせて使用する必要はないと考えたため次年度繰り越した
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