研究課題/領域番号 |
21K11364
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
上條 義一郎 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40372510)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 暑熱対策 / 障がい者スポーツ選手 / 体温調節 / 対流 |
研究実績の概要 |
運動時において、20℃以上の気温上昇は頚髄損傷者にとり大きな負担となる。頚損者は「うつ熱」を起こしやすい。“より簡便な身体冷却方法”が望まれる。 本研究では、対流の原理を用いて、暑熱環境下における脊髄損傷者(特に頚損)の運動中や体温上昇後の回復期に上肢を冷却し、深部体温上昇や低下の大きさを比較し、効率よく冷却する方法を検討するための基礎的な情報を得ることを目的とする。 この目的のために、室温25℃または30℃(相対湿度50%)に設定された室内で、①50%VO2peak または5ワットの強度による上肢運動を2セット行う場合(運動プロトコル)と、②運動後体温上昇した状態で上肢冷却を検証する(*)プロトコルを計画する。上肢冷却(Cooling)として、「送風」を用いる。 データ収録システム(PowerLab 8/35; ADInstruments)を確立し、プロトコルの立案をした。 さらに、頚損者における皮膚の局所冷却が皮膚血流量に与える影響を調べる目的で行った研究のデータをまとめ、論文投稿中である。その詳細は、頚損者の胸部(感覚がある部位)と大腿部(感覚がない部位)に対して、それぞれ初めは33℃の中性温域で皮膚血流量を安定させた後に、15℃、8℃の局所冷却を20分間ずつ行った。健常者では33℃に比べて15℃で皮膚血流量が低下するが、頚損者では有意な低下を認めず、8℃では、逆に33℃の基線を上回る皮膚血流量増加を認めた。尚、この間の血圧は測定を通して変化がなかった。以上の結果から、環境温を30℃から25℃に低下させても、頚損者の場合は皮膚血管収縮は生じず、すなわち熱放散を妨げない可能性があることが示唆された。 プロトコルを確定させるために重要な検証であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で研究協力者の募集が滞ってしまっているため。戦争中のため、部品が調達できないなど、一部の装置の購入に、遅れが生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を確定させ、倫理審査委員会へ計画書を提出し、承認を得る。障害のない者でデータを取得し、測定方法を確立させる。障がい者の研究協力者を募集し、データ収録を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の状況で、研究協力者の募集の見通しができず、研究遂行が遅れているため。 次年度は、研究協力者への謝金や消耗品、データの解析後の保存、論文校正・投稿などに使用する。
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