研究課題/領域番号 |
21K11376
|
研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
竹ノ谷 文子 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (30234412)
|
研究分担者 |
山本 憲志 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 教授 (70299329)
RAKWAL RANDEEP 筑波大学, 体育系, 教授 (70590850)
塩田 清二 湘南医療大学, 薬学部医療薬学科, 教授 (80102375)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 香り / 精油 / 抗肥満作用 / ホルモン / 視床下部 |
研究実績の概要 |
近年、精油の香りは、抗菌作用や抗ストレス作用など、様々な薬理的作用を持つことが報告されているが、特に柑橘系(グレープフルーツやレモングラス)の精油の香りは、体重減少や熱産生亢進など抗肥満作用を持つことが確認されている。一方、肥満の予防・改善には運動療法が有効であること言うまでもない。そこで我々は、「香りと運動」の併用による相乗効果を狙い、肥満解消を目指した効率かつ効果的な新規運動療法を目指している。しかし、精油は多くの種類があり、柑橘系の精油以外の抗肥満効果は不明である。以前我々は動物用のfMRIを用い、香り暴露による脳の活動応答を観察したところ、ペパーミント及びジンジャー精油の香り曝露により強い活動応答が見られた。そこで今回我々は、両者の精油の香り曝露後の視床下部の摂食関連部位のc-Fosの発現量を調べ、その細胞同定を行った。摂食関連部位におけるc-Fosの発現量を観察すると、特に外側視床下部のジンジャー精油の香り曝露はコントロール(水暴露)に比べ発現量が高く、ペパーミントの香り曝露後は発現数が減少していた。さらにジンジャー精油の香り曝露後、外側視床下部におけるc-FosとMCHおよびオレキシンニューロンとの二重免疫染色を行った結果、c-FosとMCHニューロンの共存が観察された。一方、ペパーミント精油の香り暴露によりc-Fosとorexin Aニューロンの共存が観察された。これらの結果から、ジンジャー精油の香りは食欲を増進させ、ペパーミント精油の香りは食欲を抑制させる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は動物実験において、香り暴露による抗肥満効果を、視床下部の摂食調節ニューロンの組織学的観察により検討を行った。しかし、当該年度はコロナ禍であったことから、実験環境に制限が生じ、肥満モデルマウス作成と運動条件などの検討に時間を要した。このような理由から進捗状況の自己点検は「やや遅れている」という評価になった。今後、肥満モデルマウスの香り暴露と運動の併用による効果を、生化学的解析と遺伝子レベルで検討したい。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、本年度の実験結果を考慮し、精油の香りと運動の併用による抗肥満作用を生化学な解析と遺伝子発現解析から詳細に検討する。特にRT-PCR解析により、マウスの香り暴露の有無の違いによる脂肪酸合成、脂肪酸酸化、解糖系、糖新生など糖脂質代謝関連遺伝子および肥満関連遺伝子発現を比較検討する。さらに香り暴露後、脳、肝臓を摘出し、それぞれのDNAマイクロアレイ解析を行いたい。
|