研究課題/領域番号 |
21K11377
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
土屋 陽祐 明治学院大学, 教養教育センター, 助教 (20614473)
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研究分担者 |
越智 英輔 法政大学, 生命科学部, 准教授 (90468778)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スロートレーニング / 血管内皮機能 / 血圧 / FMD |
研究実績の概要 |
中程度から高強度のレジスタンストレーニングは一時的な血圧の上昇や、血管内皮機能の低下を引き起こす。一方で、反復動作を低速で実施するスロートレーニングは、低強度においても血圧の上昇を伴わずにトレーニング効果が獲得できることが報告されている。しかしながら、一過性のスローレジスタンス運動が血管内皮機能に及ぼす影響は不明である。そこで2021年度は、一過性のスローレジスタンス運動と筋肥大型のレジスタンスエクササイズ後の血管内皮機能を検討した。 日頃からレジスタンストレーニングを実施していない健康な若年男性11名を対象に、高強度・通常速度(HN条件: 80%1RM、挙上局面1秒間、下降局面を1秒間)、低強度・低速度(LST条件: 50%1RMの強度で、挙上局面3秒間、下降局面を3秒間)、低強度・通常速度(LN条件: 50%1RM、挙上局面3秒間、下降局面3秒間)によるレッグエクステンション運動を実施した。いずれの条件も8回3セット実施した。血管内皮機能の指標として、上腕動脈のFlow Mediated Dilation (FMD)を運動前、10分、30分、60分後に評価した。また、収縮期血圧(SBP)についてはレジスタンス運動の各セット後にも評価した。 HN条件は、LST条件に比べて運動中および運動後のSBPの上昇がより大きく、かつ運動後のFMDが有意に低下した。一方で、LST条件はFMDに変化はみられなかった。 レジスタンス運動後の一時的な血管内皮機能の低下は、血圧の上昇が関係していることが報告されている。したがって、本研究におけるLSTの血管内皮機能の維持には、血圧の上昇が抑制されたことが原因であったと推察される。以上から、LSTによるレジスタンス運動は、血管系に負担の小さい安全な運動であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は計画通り、一過性のスロートレーニング運動による血圧および血管内皮機能の応答を検証した。実験の結果、仮説通りの成果が得られた。したがって、今後は長期的な適応を検討する必要性が確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、12週間の低負荷スロートレーニングによる心血管系および骨格筋の適応を検証する。トレーニング習慣のない健常な若年男性36名を対象に、2021年度で用いたレジスタンス運動(HN条件: 80%1RM、挙上局面1秒間、下降局面を1秒間、LST条件: 50%1RM、挙上局面3秒間、下降局面を3秒間、LN条件: 50%1RM、挙上局面3秒間、下降局面3秒間)を週3回、12週間実施する(HN条件10名, LST条件10名, LN条件10名)。トレーニング開始前と、トレーニング開始4週間、8週間、12週間後にトレーニングの効果として、筋厚、筋機能の指標を評価し、心血管系の機能として、FMDと血圧を評価する。血圧上昇や収縮、弛緩に関与する血液マーカーも分析し、低負荷スロートレーニングによる心血管系、骨格筋におけるトレーニング効果のメカニズムを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会発表が中止となり、旅費を使用しなかったため。 2022年度以降は、実験機器の購入および学会発表に伴う旅費を使用する予定である。
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