本研究により解糖系酵素GAPDHのニトロ化修飾がインスリンシグナルの制御に本質的な役割を果たすことがわかった。タンパク質翻訳後修飾の制御破綻が、癌、心血管疾患などの病因・病態に関与しており、ニトロ化修飾のシグナル伝達への影響解明は、ダイナミックな高次のシグナル伝達の仕組みを明らかにできるだけでなく、様々な疾患に対する新たな治療開発に結び付くことも期待される。また2型糖尿病モデルラットでは血糖値上昇時にGAPDHのニトロ化が亢進しないことを見出しており、今後このモデルラットを用いた運動の効果、特にニトロ化修飾への影響を検討し、糖尿病発症の遅延あるいは糖尿病が引き起こす合併症予防に役立てたい。
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